25日は給料日

玄関ドアが開いている!

玄関ドアが開いている!

25日の給料日がやってきた。有紀はいつものようにATMの行列に並んで現金を引き出した。家賃は自動振替だ。だが、月末には会社の同期たちと飲み会もあるし、英会話教室の月謝も払うことになっている。光熱費や電話代の支払いもまだ自動振替にしていないので、コンビニででも払おうと思っている。そのため、けっこう多めに現金を用意したのだ。

給料日といえど仕事の流れで残業になった。普段より遅い時間に帰宅して、現金は一部を財布に入れて残りはATMにあった銀行の封筒に入れて化粧台の引き出しに収めた。テレビのお笑い番組をつけながら、パソコンでしばらくメールの返信をするなどした。携帯電話にもメールが来たので、やりとりをしてから入浴して寝た。

翌朝、いつも通りに出勤すると、そのまま同期の仲間たちと飲み会に出かけた。2次会に付き合って、有紀が家に帰ったのは11時近かった。バッグからキーホルダーを取り出そうとしてドキリとした。ドアが少し開いている。閉まっているはずなのに、閉じ忘れたようにドアが浮いているように見えた。

「え? ウソッ」

心臓の鼓動が聞こえるような気がした。朝、出かける時は確かに鍵をかけたはずだった。いつも鍵をかけてからノブを回して確認する習慣がある。記憶に間違いはない。だが、目の前のドアは少し開いた状態で、何かでえぐられたようにゆがんでおり、まっすぐであるはずのラインが不自然にへこんでいる。有紀はドアに手をかけて手前に引いた。抵抗なくドアは開いた。

玄関を見下ろすと数足の靴が並んでいるはずなのに、ばらけている。まるで誰かがその上を踏み歩いたように……。壁のスイッチをオンにした。短い廊下の先にある部屋との境のドアが開いている。これもいつも閉じているのに。

そして廊下の先の室内がぼんやりと見えた。いつもと違う風景だった。荒らされたという様子だった。これはもう間違いない。泥棒に入られたのだ! 明かりをつけた室内は悲惨だった。チェストはすべて引き出しが出されて中はぐちゃぐちゃになっている。小さいテーブルの上にあるはずのノート型パソコンがない。化粧台の引き出しも開け放されており、中に入れてあった現金入りの封筒がなくなっている。大した金額ではないが、いくつかのアクセサリーと腕時計もなくなっていた。

有紀は部屋の中にいるのが怖くなった。不審者が潜んでいるようで収納の扉を開けることが出来ない。よろよろとようやく部屋の外に出た。