10月 日本のコンパクトカーが“三流”になってしまった
今年のフランクフルトショーでお披露目された新世代4人乗りコンパクトのVW up!。サイズは全長3540mm×全幅1640mm×全高1480mm、車両重量は929kg。Cd値も0.32と優れている。ガソリンエンジンは最高出力60psと75psを発生する2タイプの999cc直3を搭載。本国ではディーゼルや天然ガス仕様も用意され、2013年には電気駆動モデルも追加される予定だ
8月の余韻があったからか、秋という季節がそうさせるのか。ラリー日本に出場するなど、またしても趣味性の濃い月だったが、そんななか、“重大な事件”がふたたびローマで起こった。
VWの新コンパクトカー、up! である。とにかく、その乗り味たるや、数ある日本のコンパクトカーを奈落の底に落としかねないもので、少なくとも筆者は、up! 以後、国産コンパクトに乗る気などすっかり失せてしまった。もし12年秋、up! が相当の価格戦略でもって上陸してきたとしたら……。台数はともかく、日本人のコンパクトカー感に少なからず大きな影響を与えることになると思う。精神的には、初代ゴルフの再来、であった。
11月 またしてもCなやつ…… ブラックシリーズに脱帽
メルセデスAMG社がモータースポーツで培ったテクノロジーを注ぎ込んだ少量限定生産のフラッグシップモデル、ブラックシリーズ。第4弾はC63AMGクーペをベースに開発された。日本には50台が導入される予定で、価格は1500万円となる
バースデーマンスの最高は、ラグナセカで乗ったC63AMGクーペブラックシリーズだ。サーキットのオモチャとして、GT野郎(懐かしい響きだ)ご用達として、コレクターズアイテムとして、クルマ運転好きの昇天グッズとして。正に史上最強のCクラスであった。注文できた人は、幸運だ。
新車ではないが、念願叶ってチゼータV16Tにも試乗することができた。16気筒のエンジンフィールは、ほかの何物にも似ず、ほとんどジェットエンジンのような音と精密さで乗り手を圧倒した。真のスーパーカーである。
3たび、東京で乗ったアヴェンタドールもまた、期待どおりのパフォーマンスをみせてくれた。
■印象に残ったそのほかの輸入車
M・ベンツSLK55AMG@サンフランシスコ
3世代目となるコンパクト2シーターオープン、SLKのトップモデルSLK55AMG。最高出力422psの新しい5.5リッターNAエンジン(M157)を搭載する。AMGシリンダーマネージメントと呼ばれる気筒休止システムを採用、旧型より約30%燃費を向上させている
12月 3シリーズ、3シリーズ、3シリーズ!
BMWの大黒柱となる欧州Dセグメントのコンパクトサルーン、3シリーズ。328iには直噴2リッター直4ツインスクロールターボを搭載。最高出力は245ps、最大トルクは350Nmを発生、0-100km/h加速は6.1秒(8AT)とされた。後輪駆動や前後重量配分50:50などは従来同様
東京モーターショーで年を締めくくった12月。ボクのヒーローはBMW3シリーズだった。1シリーズで予感した期待そのままに、否、それを上回るライドフィール/操縦感覚/走りの奥深さで、乗り手に迫ってきた。来年、日本における輸入車のベストチョイスになることは、間違いない。ハイブリッド3やディーゼルターボなど、派生モデルへの期待も膨らむ。もちろん、ツーリングだって出る。M3は直噴ターボでどうなるか……、などなど、興味は尽きない。
3代目となるプレミアムSUV、Mクラス。国内には直噴3.5リッターと3リッターディーゼル搭載モデルが導入される予定とのことだ。ガソリンエンジンは最新ピエゾインジェクターを用いた直噴システムを採用、旧型より約25%燃費を向上させている
また、温暖なバルセロナで3シリーズに乗る2日前、厳冬のインスブルックでメルセデスのMLクラスとEクラスディーゼルに乗った。MLの進化は想像通りで、よくできたSUVの範疇を超えないが、E250ブルーテック4マチックの恐るべき完成度の高さに驚く。コイツのワゴンは真にオールマイティな乗用車だと思う。
■印象に残ったそのほかの輸入車
アルファロメオジュリエッタ@箱根
フェラーリFF@東京