新しい顧客を取り込むべく大胆に変わった
気づけばこんなに値落ちしていて「おいしい!」という中古車をご紹介しているこの企画。今回はメルセデス・ベンツCクラス(現行)を取り上げたいと思います。写真はアバンギャルド。もうひとつのエレガンスはボンネットの先端にスリーポインテッドがちょこんとのっかる、伝統的なベンツのセダン顔です。ただし違うのはそのほかにホイール経やインテリアの加飾の違いくらいなもので、乗り心地や乗り味に差はありません
間もなくBMW3シリーズの新型が日本にも導入される予定で、アウディA4の勢いは相変わらずやまないという、強者たちがしのぎを削るカテゴリーにおいて、それでもCクラスはライバル車たちのベンチマークという揺るぎない地位を築いているのではないでしょうか。しかし2007年7月のデビューから4年、とうとう初期型が200万円を切るまでになってきました。
ライバルたちに立ち向かうべく、Cクラスは今年2011年5月に大掛かりなマイナーチェンジを図ったわけですが、そこで打ち出されたのは、よりスポーティなイメージを強める方向性でした。もちろん、その萌芽は2007年のフルモデルチェンジで既に示されています。
デビュー時のエンジンはいずれも先代の後期モデルに搭載されていたものですが、燃費が向上しています。ちなみに原稿執筆時点でのV6搭載モデル(つまり7速AT)の最安値はC250のアバンギャルドの219.8万円(2007年式/5.5万km)。新車時価格は570万円でした
「アバンギャルド」と「エレガンス」という二つの顔を用意したのも異例のことですが、そのうちの一つ、アバンギャルドはスリーポインテッドをフロントグリルに配置しました。今でこそあたり前になりつつありますが、一昔前はSLなどスポーティクーペのみがフロントグリルに配することを許されていたのですから、それだけ現行型Cクラスはデビュー当時からスポーティ路線を強調していたというわけです。
また「アジリティ」という言葉がやたらとクルマ雑誌の誌面を賑わしたのも、Cクラス登場した頃です。アジリティとは、Cクラスのプレスリリースによれば俊敏性であり、「アジリティとコンフォート(快適性)を高次元で両立した走行性能」と書かれています。
そのため車両重量前後配分は52:48とライバルの3シリーズに迫る勢いで、前後サスペンションには走行状況に応じて(簡単にいうと)足回りが引き締まったりするセレクティブダンピングシステムや、車速に応じてステアリングの操舵感の変わるパラメーターステアリングと、走る気満々の人々をも満足させるような装備を、BMWやアウディではなく、メルセデス・ベンツの高級コンパクトセダンが備えたのです。
これは既存の「メルセデス・ベンツの顧客」だけでなく、BMWやアウディに流れがちだった若い世代を中心とする「新しい顧客」をも取り込もうとする、Cクラスとしては大胆な方向性でした。
デビュー当時の新車時価格は450万円~664万円。それが原稿執筆時点で見てみると、最安値はC200コンプレッサーのエレガンス(2008年式/5.7万km/修復歴なし)の198万円。またC200コンプレッサーのアバンギャルド(2007年式/4.9万km/修復歴なし)も199万円と、新車時の半額以下になってきました。
まだまだCクラスの魅力を見ていきましょう。