土地活用のノウハウ/空室対策・賃貸管理・老朽化

入居者退去はチャンス、経営上手なリフォームのコツ(2ページ目)

オーナーさんの沢山ある悩みの中で第1位は空室問題で、それに次ぐのが家賃滞納、入居者トラブル、管理会社への不満、賃料下落などです。これらの悩みは、築5年過ぎから出始め、10年を過ぎると一段と激しくなります。経営上手なオーナーさんは、退去=空室と後ろ向きに考えるのではなく、手を加えて部屋のイメージを一新するチャンスと考えます。内装、設備など工夫する余地は沢山ありますので、是非いろいろ考えてみて下さい。

谷崎 憲一

執筆者:谷崎 憲一

土地活用ガイド

リフォームのコツ 

リフォーム

リフォームでイメージ一新

原状回復の際にひと工夫して、平凡な部屋とは一味違う印象に変えていくことを考えましょう。色遣いの例を挙げると、白と黒のみで統一するとか、白い壁の一面だけをダークブラウンにし、床も白を基調としてアクセントをつけるといった方法があります。こうすると部屋を広く見せる効果もあります。

色については、あまり女性の好む色にしてしまうと男性が敬遠してしまいますが、男性が好む色については女性にとってもそれほど違和感はないので、男性の社会人や学生が好む色遣いを心がけるとよいでしょう。どちらかというとダーク系のダークブラウン、濃いグレー、紺色などです。

印象を強くするという意味では、赤や緑を用いるのも問題はありません。キッチンを青一色でまとめたらすぐに入居が決まったというケースもあります。このときは夏場で、涼しげなイメージが功を奏したようです。そうした季節性を考えることも大切です。

提案力のない不動産屋さんと組んでしまうと、昔ながらの白いクロスを勧められ、「言われるままにリフォームにお金をかけたのに、ちっとも空室が埋まらない」ということにもなりかねません。

原状回復の機会に、最新の設備を積極的に取り入れることも大切です。といっても何もかも最新のものに変えることは難しいですから、ポイントを絞って採用していきます。

具体的には、セキュリティ関係が入居決定に効果的です。今ではマンションであればオートロックなどはどこでも見かける設備となりつつありますが、テレビ付きインターホンなどはまだ一般化していないのでお勧めです。それほど高価なものではない割に、「ここはセキュリティに気をつかっている」という印象を与えることができます。

ファミリー層では実際に物件を選ぶのは奥様であることが多く、その場合の決め手は「水回りの清潔感」です。キッチンなどが古びてきたら、リフォームシート(住友3Mの「ダイノックシート」など)を表面に貼ると、それだけで印象がガラリと変わります。いくつもの色のシートを用意し、入居希望者の好みに合わせて色を変えるといった試みもよいでしょう。

キッチンだけでなく風呂場でも同じようにシートを貼るだけで、それほどコストをかけることなくイメージを一変させることができます。

損して得をする発想 

入居者はお客様であり、部屋は入居者がお金を払う「商品」です。魅力ある商品には人が集まります。魅力ある商品を作ることができれば、他の物件との競争に勝って空室期間を短くすることができるのです。

そのために、時には費用をかけてリフォームを行い、誰の目にも「わあ、きれい」と思ってもらえるレベルにまで仕上げなくてはなりません。たとえば家賃10万円の物件があって、退去者が出たとします。ここで修繕費5万円で、申しわけ程度のリフォームをするのと、思いきって50万円のリフォームをするのと、将来的に見てどちらが得でしょうか。

50万円をかけてリフォームし、すぐに次の入居者が決まった場合、使った費用は50万円。これに対して、5万円のリフォームをしたものの、次の入居者が決まるまで4ヶ月かかってしまった場合、機会損失は家賃10万円×4ヵ月+5万円で45万円です。

一見すると5万円で済ませた方がお得ですが、実際はその逆なのです。きちんとリフォームした場合、それによって物件の価値が高まります。これは新たな入居者が次に退去したときにも効いてきます。

申しわけ程度のリフォームでお茶を濁してしまうと、次の退去時にもまた同じことの繰り返しになります。それを続けていくと、物件の価値はどんどん下がっていってしまいます。

リフォームに投じた費用は税制上、経費として落とすことができます。これはリフォームの内容によって一括で落とせる場合もあれば、何年間かに分けて償却しなければいけない場合もあります。仮に8年間かけて償却するとしても、1年あたり5万円以上が経費として落とせるので、節税分を考えると5万円程度の差額は簡単に回収できてしまうのです。

もちろんリフォームといっても、やたらとお金をかければいいというものではありません。あるのが当然となっているのに今までなかった設備を導入したり、内装を変えてイメージを一新したり、それぞれの物件ごとに、手を入れるべきポイントは変わってくるのです。
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