ブリュッセルの歴史 1. ギルドの繁栄
2年に一度、8月に開催されるフラワーカーペットでは、グランプラスが花に満たされる
ギルドは職業別に集まった組合組織で、たとえば商人や貿易業者が商人ギルドという組織を作り、商業を独占することで価格や流通量を自在に操り、王や都市にさえ特権的な身分を要求した。貿易都市・ブリュッセルが繁栄したのは、こうした商人ギルドや、それによって集まってきた手工業者のギルドのおかげでもあった。
他のギルドハウスとは雰囲気が異なる「ブラバント公の家」。歴代19人の公爵の銅像が並んでいる
12~13世紀にはグランプラスの辺りに市庁舎が造られ、ギルドが続々とその周辺に集結した。現在残っているグランプラス周辺の建物は、それぞれの職業の組合員が集まるギルドハウスだった。ブリュッセルは14世紀にブラバント公国に組み込まれると、宮廷がブリュッセルに移され、フランドル(フランダース)地方の中心地として栄えていく。
ブリュッセルの歴史 2. いまに伝わるグランプラス
ライトアップされたグランプラスの夜。夜遅くまで喧噪は終わらない
これ以後ブリュッセルは、ネーデルランド(オランダ)の一部になったり、ハプスブルク帝国に組み込まれたり、フランスの支配下に入ったりと、混迷の時代を迎える。
ギルドハウスの美しい彫像 ©牧哲雄
その後も宗主国は二転三転するが、ブリュッセルはその伝統を守り、中世の形をそのままとどめていまに至る。1830年のベルギー独立に際して、ブリュッセルはついにベルギーの首都となる。
実はその後も都市開発などによって、グランプラス周辺は何度も消滅・改築の危機にさらされた。ギルドはすでに消滅していたが、街を守ろうという人々の結びつきは、グランプラスと共にいまに伝えられている。