名水風呂
夕闇が迫ってきましたので、宿へ戻りお風呂で温まってから夕食にするといたしましょうか。
お風呂は温泉ではありませんが、温められた名水のかけ流し。循環をしていないので、滑らかで新鮮な湯を楽しむことができます。また、2つある内湯は家族単位で貸し切りができるので、気兼ねなく入ることができます。バス・トイレは部屋の外にありますが、これも元が行者宿ならでは。温水便座(2カ所)もあるので寒い時期も安心です。
新鮮! ボタン鍋
さて、夕食は女将さんが丹精込めて手作りをしてくれる里山料理。ちょうどシシ肉が入ったというので、今晩は追加料金を出してでもボタン鍋といきましょう! 今年はドングリが多かったらしく肉質もいい具合だそう。食事処の広間にはご主人自慢のスピーカーからジャズが流れています。まさに花の牡丹のように盛り付けられたピンク色のシシ肉を、味噌仕立ての出汁のなかで軽くシャブシャブ。短い時間でサッとあげます。薄切りとは思えないくらいに弾力が生まれ、牛や豚肉と違って脂身が少なく何枚でも食べられます。信州の方ではもう少し濃い味噌味ですが、天川のシシ肉は味が濃く臭みがないので薄味で十分だといいます。脇役の手作りコンニャクも芋の味が生きていて絶品です。
続いて運ばれてきた、藁納豆のような形をした一皿。なんでしょうか……? これが宿特製の「アユの俵巻き」。焼きアユ丸ごと一匹を素麺で包み端をカンピョウで留め油で揚げてあります。バリバリと音を立てながら豪快にかぶりつくとホクホクのアユの身からいい香りが放たれます。外はパリパリ中はジューシーってやつです。
ご主人の「そろそろメロンのお酒いきますか?」の声掛けと共に出てきたのは修験者が逆さまに吊るされたラベルの日本酒「大峯山」。なるほど、言われればメロンの味が鼻に抜けます。ごろごろ水で仕込まれているからでしょうか……。お腹膨れた後は「陀羅尼介」を飲むことを忘れずに。 爽やかな翌朝を迎えられることでしょう。
次のページでは朝の楽しみを。