包容力のある女性は息苦しい?
大人過ぎるあなたの対応、男性はどう思っている?
男友だちの集った食事の席で、恋愛話になった時に、Tくんがつぶやいた。女にとって包容力といえば、恋に必要不可欠な神器のはずだけど……。他の男たちも、「何となくわかるかも」なんて言っている。一体どうして――?
居心地がいいのに息苦しい、その理由
30歳のTくんの彼女、K美は、2歳上のキャリアガール。見目も麗しく、美しい曲線を描いた抜群のスタイルにモードを取り入れつつも色っぽい服装は、いかにも“高値な女”である。一方、話せば気さくで面白いというギャップもあり、恋愛の手練手管にも長けている――30代にしてますますモテている女の典型のような人。友だちの紹介で出会って、軽い気持ちでランチをしたら、あっという間に彼女のペースに巻き込まれ……付き合い始めて、すでに1年。最近では、ほとんど同棲状態。それが居心地のいい反面、時々、無性に息苦しくなるのだという。
居心地がいいのに、息苦しい? それって意味がわからないというと、Tくんはこんな話をしてくれた。
お互い、忙しくて深夜帰宅が続き、デートもままならない日々が続いていた頃。やっとのことで2人で休みを合わせて、1週間の海外旅行を計画した。どんなに忙しくて会えなくても、会ったところで彼が疲れて無礼な態度をとっていても、「その旅行があるからいいの」と彼女は文句ひとつ言わずに笑っていた。なのに、その海外旅行も出発直前で彼に大きな仕事のプロジェクトが降ってきてしまい、キャンセルすることに――。
さすがに、彼女に申し訳なく思う気持ちに苦しみながらも、おそるおそる告げると……。彼女は、ほんの一瞬、曇った顔を見せたものの、すぐに笑顔で、「仕方ないね」といつものような笑顔で受け入れてくれた。そして、彼の背中をさすりながら、労いと励ましの言葉をかけ続け、その後も、ずっと優しかった。
そんな彼女の完璧な応対に、彼はほっとした半面、心の奥で何かがぷつんとはじけ飛んだ。
「何て言うのかな。『嘘つけ!』って思っちゃったんだよね」とTくん。その時の彼女の表情や行動にほころびがあったわけじゃない。この時に限らず、いつも彼女はこの調子で、何でも受け容れてくれる“包容力のある女”。それが有難くもあり、息苦しくもあるというのだから、男心って複雑だ。
「大人な対応がとれる彼女」の何がいや?
ある程度、感情を爆発させるのも、付き合ってる相手への信頼あってこそです
多くの男は劣等感が強く、プライドの高い生き物だから、いわゆる完璧な女(本当は、完璧な女なんていないのだけれど)を息苦しく思う。よくある話だ。だけど、どうやら、理由は、それだけではないらしい。
過度な包容力に感じる打算
「過度な“包容力”には、女の打算を感じるし、ほんとのところで受け止められている気がしないのだ」と男たちは言う。「だって、仕事や女友だちとの軋轢を話している時の彼女は、怖さが透けて見える。鬼みたいなところもあるのに、何でオレにだけ優しいの?」
「包容力さえあれば、愛されるって思いこんでるんじゃないの?」
そういえば、映画版の『セカンドバージン』にもこれと似たような心理描写があった。17歳も年下の既婚男と道ならぬ恋に落ちた主人公の40代女性は、紆余曲折の末に手に入れた彼を大切に思うあまり、果てしない包容力を発揮する。彼の弱さもズルさも墜落もすべて、「大丈夫よ」と愛のままに受け容れ続ける。そこにウソはない。彼女が培ってきた強さと深い愛から生まれた包容力であるものの、裏腹に経験値により染みついてしまった、打算やいやらしさもにじんでいたことは否めなかった。
包容力は、時に、女が自分を守るシェルターになる。ある意味、彼と対等に向き合いきれていないからこそ、包容力でフタをする。ひたすら彼を受け容れることにより、男から崇められ、優位に立ちたいという無意識な思いもあるのかもしれない。包容力が、愛の壁になることも、あるのだ。それで、男を息苦しくさせたり、2人の間に距離を作った結果、若くワガママな若い女子にかっさわれたりもする――。
女にとって包容力はあったほうがいい。それは間違いがない。だけど、その包容力は、海ほど無限ではないことを男たちは知っているし、女自身もまた知るべきだと思う。そして、一方では、自己中なだけではない、魅力的なワガママ(ワガママについては、またの機会に)を身に付けたほうがいいと思うのだ。包容力だけでは、恋は続かない。包容力のある女ほど、ワガママになれたら、恋愛の密度はもっと濃くなるはずだと思う。
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