100年店ランチ/東京の100年店ランチ

末げん(鳥割烹/新橋/創業1909年)(2ページ目)

最後の晩餐、みなさんは何を食べるのでしょうか……。今回は三島由紀夫が最後の晩餐の場に選んだ、新橋「末げん」をご案内します。

菅野 夕霧

執筆者:菅野 夕霧

100年店ランチガイド

名物「かま定食(親子丼)」は1050円

名物であり人気の「かま定食」

名物であり人気の「かま定食」

店内へ入ると、「靴を脱いで、クリップで留め、靴札をお持ちください」とのこと。常連客はすんなり流れるように行っていますが、初めての際は少し躊躇するかも知れません。

自分の靴を脱ぎ、同じ番号のついたクリップと靴札を手に取り、靴にクリップを留めて左の靴箱へ収納。他の方の靴との間違え防止でしょうか。靴札を手にすると、左手の座敷席か、右手のテーブル席へと案内されます。この日の私は、右手のテーブル席へ。

「かま定食」の大盛りはプラス105円でオーダー可能

「かま定食」の大盛りは105円増し

ランチタイムには、予約の必要なコース料理もありますが、同店の名物ランチは「かま定食」(1050円)です。いわゆる“親子丼”ですが、普通の親子丼との違いは見た目でハッキリとわかります。

鳥肉はコロっとしたタイプではなく挽き肉です。3種の鳥挽き肉とトロトロの卵、つゆが相まって食べやすく、のど越しのいい逸品に仕上がっています。ガツンと“男飯”というようなタイプではありませんが、蓋付きでの登場、その“ビジュアル”も含めて食欲が増進しますね。

小鉢、香の物、生姜が効いている鳥スープが付いて1050円。 “三島のあの店”といった観光価値を考慮すると、1500円や2000円でもおかしくない気もしますが、名物をあえてこの価格設定に、という心意気も嬉しいところです。

すべて食してみたい4種類の昼の定食

日本的な鳥料理を提供する店として、古くは総理大臣を務めた原敬、歌舞伎役者・6代目尾上菊五郎など著名人が通ったという同店。1997年に現店舗への建て替えを行い、鳥料理をメインとした日本料理店に変化し現在へと至っています。

お昼の定食は、「かま定食」以外に、「から揚げ定食」(1470円)、「とりかつ定食」(1470円)、「たつた揚げ定食」(1575円)の4種類あります。ご婦人などが「OO定食を、ご飯は少なめで……」というオーダーをしているのをしばしば見かけるように、こちらの定食はいずれもご飯の量がしっかりあります。この日私は、以前から気になっていた「たつた揚げ定食」をオーダーすることにしました。

同店オリジナルの「たつた揚げ」

同店の「たつた揚げ」と「から揚げ」は2人前からお土産も可能

運ばれてきた鳥のたつた揚げは、思い浮かべる一般的な「竜田揚げ」とは少し違う印象。一見丸みのあるコロッケのような姿をしています。しかも大ぶりなものが3個です。一口食べてみると、サクっとした衣の下からメンチカツ状のジューシーな鳥肉が……。下味の味付けも絶妙で、「お好みでこちらを」と渡されたウスターソースをかけずにいただきます。1、2個をペロっと食べたあとで、3個目はソースをかけて……。いずれもご飯が進む上品な味わい。まさに“鳥割烹”に相応しい料理ですね。“他では味わえません”という謳い文句にも納得できる初めての食感、味覚でした。

ランチタイムには店頭にメニュー札が

ランチタイムには店頭にメニュー札が

三島事件後、報道を通じて全国区の存在となった同店。夜の献立、鶏ガラスープをベースにした鳥鍋料理「わ」は、三島由紀夫ゆかりのコース料理(8400円~15750円の4つのコース)として提供されています。機会をつくって“三島気分”を味わう夜も、一度経験してみたいですね。

三島由紀夫が選んだ最後の食事の場……そんな店でランチはいかがでしょう?


■末げん
住所:東京都港区新橋2-15-7 エスプラザビル1F
TEL:03-3591-6214
営業時間:11:30~13:30、17:00~22:00
定休日:日・祝(土曜は不定休)
地図:Yahoo! 地図情報

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