「貯める!」と力んでもなかなかうまくいかない。
「今月の給料からお金を貯める!」と心に誓っても、1カ月後の給料日前になると、やっぱり貯金できなかったという人がいます。私も20代の頃、何度かそういう経験をしています。失敗した人は「自分の意志が弱かったせいだ」と考えてしまいます。もっとしっかり気持ちを持てばお金は貯められたはず、というわけです。そこでますます力んでしまうと、今度は1万円貯められればと思っているのに、生活をぎゅうぎゅうに切り詰めて2万円貯めてしまったりします。こういうやり方では、その月はいいですが、継続的にお金を貯めることはできません。
お金を貯めるという気持ちはなかなかコントロールしにくいものです。ごく自然にお金が貯まるような生活をしている人は苦労しないのに、うまくいかない人はいくらやってもうまくいきません。
しかし、自然にお金が貯められない人がお金を貯めなくてもいい、というわけはありません。やはり、長い人生の中でお金のやりくりをしてくなら、貯めることを覚えなくてはなりません。誰でも自然にお金を貯められる方法はないでしょうか。
そこでマネーハックの出番です。
力を抜いて自然に貯まる方法を考える
マネーハック的には「それは貯め方が間違っている」と考えてみます。自分が悪いと責める必要はありません。ただ、自分の「やり方」が悪いのです。例えて言えば、プールに出かけてクロールの練習をするのに、間違ったフォームでスピードをあげようとしているようなものです。フォームを改善しない限りスピードはあがらないのに、たくさん努力して泳げばいつかスピードが上がると誤解していたりします。いつまでたっても疲れるばかりで、スピードは上がりません。
まずは力を抜いて考え直してみましょう。お金を貯める、ということは大切です。しかしなかなかお金が貯まらない理由はなんでしょうか。
うまくいかないのはもしかして「1カ月やりくりして暮らし、給料日前に残ったお金を貯金する」というやり方のせいではないでしょうか。
誰でも「残ったお金を貯める」のがお金の貯め方だと思っています。しかしこれはお金を貯め始める初心者の陥りがちな罠がまさにそれです。心理学的にもうまくないやり方です。
私もそうでしたが、「残ったお金を貯める」方式だと、銀行に行くたび残高を見て「このペースなら給与振込日の25日ちょうど使い切るかな」と無意識に考えてしまうのです。結果として、24日の口座残高が1000円を切るようにぴったり使う月が続く、ということになります(自然に貯められる人は自然にお金を使うと給料日前に1万円残ったりするので苦労しない)。
うまくいかない人は「残ったお金を貯める=お金が残らなければ貯めなくていい」という発想にハマっているのです。
だとすれば、発想を逆転するしかありません。マネーハックです。
つまり「先に貯めるべきお金を引き、残りのお金で1カ月暮らす」のです。
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