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老後の不安に備える!成年後見制度の豆知識(2ページ目)

「私が将来、認知症になったら誰が財産を管理してくれるのでしょう?」そんなおひとりさまの疑問に答えるため、成年後見制度について司法書士の藤田真弓さんに教えていただきました。

氏家 祥美

執筆者:氏家 祥美

女性のためのお金入門ガイド

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法定後見制度と任意後見制度の違いは?

ガイド:そもそも成年後見制度ってどんな制度ですか?

藤田さん:成年後見制度は、認知症や知的障害、精神障害など、精神上の障害によって判断能力が不十分になった方を法律的に保護して、支えるための制度です。「その人らしく生きる」ことをサポートする制度と言うとわかりやすいでしょうか。

ガイド:その人らしく生きるっていいですね。

藤田さん:本人の判断能力の程度に応じて、補助、保佐、後見の3つのサポートがあります。「補助」は判断能力に不安がある方で一部サポートを必要とするレベル、「保佐」は判断能力が著しく不十分な方で、重要な事柄はお任せするというレベル、「後見」は判断能力がまったくない方で、すべての財産管理をお任せするというレベルです。

ガイド:なるほど。利用者の程度によって違いがあるのですね。自分の財産を任せるとなると、信頼できる人でないと困りますよね?どんな人が後見人になれるのでしょうか?

藤田さん:法定後見人には、親族のほかに弁護士、司法書士、社会福祉士、税理士などの専門家や、法律や福祉にかかわる法人がなることができます。家庭裁判所に選任されて初めてなることができるんですよ。

ガイド:なるほど。責任の重い仕事ですものね。ところで、成年後見制度には、法定後見人と任意後見人がありますよね。どういう違いがありますか?

藤田さん:法定後見人は、補助・保佐・後見のいずれかの状態にある人のための制度です。何らかのサポートが必要な状態になってから選任します。

それに対して任意後見人は、将来認知症になったときなどに備えて、生活や療養、財産管理などを自分に代わってやってくれる人を決めておく契約です。自分がしっかりしているうちに、将来お任せする人を決められるので、意思を伝えられるのが大きな違いですね。

また、成年後見人は基本的に亡くなったら終わりですが、任意後見人の場合には亡くなったあとの事務手続きや遺言の執行なども契約に付け加えることができます。

ガイド:なるほど。任意後見人を事前に選んでおけば、おひとりさまでも自分らしい最後を迎えられそうですね。

成年後見制度、費用の目安は?

ガイド:お話を聞いていると、とてもいい制度だなと思うのですが、費用はどのくらいかかるのでしょうか?

藤田さん:成年後見人の報酬は、法律で決まっているわけではありません。最初に申し立ての費用が必要ですが、その後の報酬は、実際に行った事務内容や後見人の財産などをふまえて決められています。一応の目安は、基本報酬が月額2万円程度。財産が多いとその分管理が煩雑になるので、報酬も上乗せされます。そのほか、不動産の売買など何か特別なことをしたときには、その内容に応じて報酬も一時的に上乗せされます。

また、任意後見人には、任意後見人を監督する成年後見監督人をつける必要があります。後見人を見張る人がいるのでその分安心なのですが、この報酬も負担することになるため、法定後見人と比べると任意後見人のほうが、費用がかかります。

ガイド:そうなのですね。自分の老後への備えとしてはもちろん、親世代の老後への備えとして、多くの人に知っておいてほしい話だと思いました。ありがとうございました。
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