ちゃぶ台からダイニングへ 

1960年代くらいまで、日本の一般的な住まいではちゃぶ台での食事風景がいまだ多く見られました。1971年の統計では、ダイニングテーブルでの食事スタイルが全戸数の50%を超え、急速に変化していったことが分かります。食事スタイルが変われば、生活のスタイルそのものも変わります。間取りの考え方も○LDKといった部屋数の確保といった標準的な間取りの考え方が普及し始めたのです。


1970~80年がターニングポイント 

高度成長期の60年代から70年代への変化はモーレツからビューティフルと位置づけられ、住宅数は世帯数を上回り、核家族が当たり前になって来ました。核家族の世帯数が増えると同時に家族のコミュニケーションのあり方も変わって来ました。それはドラマや社会問題にも現れました。

1980年に起きた「金属バット両親殺害事件」はエリートサラリーマンの家族で子どもが金属バットで両親を殺すという事件で日本全体を震撼させました。

さらに、1983年に放映された「家族ゲーム」は家族が一列に並んでテレビを見ながら食事をするという風景を、「積木くずし」は家庭内暴力に悔やむ夫婦のあり方というものを浮き彫りにさせてくれました。

便利と豊かさのみを求めた結果、生活スタイルが変化し、家族のあり方そのものさえ変質を余儀なくされたのです。


間取りの力と空間の力が会話を生み出す 

近年は親子のコミュニケーションが大事といって玄関から直接子供部屋に行くのではなく、リビングを通って二階に行くといったリビングイン階段の間取りもあります。しかしながら、子どもが低学年のうちはいいのですが、成長していく中で煩わしくなることもあります。子どもは秘密を持つことで大人になっていくことも事実です。リビングイン階段にしたからといって自然にコミュニケーションが生まれるものでもありません。自然に生まれるには工夫が必要です。例えば、階段の幅を広げベンチのように座れるようにしたり、壁にニッチを設けて子どもが大事にしているものを飾ってあげたり、階段踊り場を広くとりそこをパソコンコーナーにする等です。
そうすることで何気ない会話が生まれます。その何気ない会話をどう引き出すかが間取りの力であり、空間の力なのです。