食と健康/伝統食・粗食・素食

見直したい乾物シリーズその1……かんぴょう(3ページ目)

地味な存在の乾物「かんぴょう」は食物繊維が豊富。近年はかんぴょうを加工した商品も開発されています。保存が効き、乾物ならではのおいしさもあるなど、その栄養と魅力を見直したい食品です。

南 恵子

執筆者:南 恵子

NR・サプリメントアドバイザー / 食と健康ガイド

夜明け前から作業するかんぴょう作り

かんぴょうは、ウリ科のユウガオをひも状に剥いて乾燥させたもので、7月~8月が収穫時期。2日間程度干して、その過程で甘味や香りが増していきます。

以前テレビ番組で見ましたが、かんぴょう作りは夜があける前から行われるそうです。というのは、未明でないとかんぴょうが硬くなってむきにくいのだとか。真夏の日光に十分あてて乾かすためもあるでしょう。

収穫期間には、農家の方たちは、夜中に収穫して早朝までに剥き終えて干すという生活が続くそうです。私たちの見えないところで、生産現場ではご苦労があるものですね。

ユウガオは、中国から伝わったと考えられ、縄文・弥生時代の遺跡から種子が出土し、10世紀には栽培されていたという記録もあるそうです。

現在の生産では、栃木県がトップを誇っていますが、江戸時代には関西地方の浪速地区や伊賀が主産地だったとか。別名で「キヅ」と呼ばれるのは、木津(大阪市浪速区の地名)という地名に由来していると考えられています。

また江戸時代の浮世絵史歌川広重の「東海道五十三次」の「水口宿」(滋賀県)には、女性たちがかんぴょうを干す姿が描かれています。栃木県での生産の始まりは、江戸時代に水口城主であった鳥居忠英が下野国壬生城に任ぜられて後生産されるようになったと伝えられています。


参考/
食品成分表2010
江戸時代 食生活事典(雄山閣)
FOOD’S FOOD 食材図典地産食材篇(小学館)
和歌食物本草 現代語訳 江戸時代に学ぶ食養生(源草社)
料理食材大事典(主婦の友社)
水口のかんぴょう(近畿農政局)
江戸食文化紀行(株式会社歌舞伎座)
その他
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