輸入車/注目の輸入車試乗レポート

ポジション狙い通り、一粒で二度美味しいヴィラージュ(2ページ目)

ラグジュアリィ寄りのDB9と硬派なスポーツモデルにして最上級のDBSとの間を埋めるモデル。よって、そのスタイリングもまた、DB9~ヴィラー ジュ~DBSとひとつのベクトル線上にのっており、おそらく馴染みのない方には、まるで同じカタチに見えることだろう。

西川 淳

執筆者:西川 淳

車ガイド

DB9よりもスポーティ、DBSよりもラグジュアリィ

アストンマーティンヴィラージュ

ダンパーの減衰力を電子制御により、走行状況に合わせて10段階に変更するアダプティブダンピングシステム(ADS)を装備。専用チューンされたダイナミックスタビリティコントロール(DSC)は介入レベルを3段階に設定できる

とまれ、最新モデルとなるヴィラージュは、ラグジュアリィ寄りのDB9と硬派なスポーツモデル/DBSとの間を埋めるモデル、というポジショニングである。みどころはといえば、よく似ているが微妙に違うスタイリングを除くと、他モデルに先んじて新開発のADS(アダプティブ・ダンピング・サスペンション)を積んだことだろう。ドライビングスタイルの好みや路面の状況に合わせて、ノーマルとスポーツ、それぞれでなんと5段階の調整が可能となっている。

走りの方もまた、アストンマーティンが狙った通り、要するに、DB9よりもスポーティで、DBSよりもラグジュアリィなライドフィールをもっていた。
アストンマーティンヴィラージュ

最高出力497ps/最大トルク570Nmを発生する5.9リッターV12エンジンを搭載。ZF社と共同開発されたタッチトロニック2と呼ばれる6ATが組み合わせられた。最高速は299km/h、0-100km/h加速は4.6秒

特にADSをノーマルセットにして街なかをクルージングしているようなときには、カタチ同様DB9とどこがどう違うのよ? と思わず叫んでしまうほど、その乗り味は穏やかで慎み深いもの。サウンドも決して出しゃばることがなく、497psというビッグパワーも上手に手懐けている。豪華なインテリア(こちらは全モデル共通デザインだと言っていい! )を愛でつつ、ゆっくりクルージングを楽しむ。その贅沢なひとときこそが、2000万円以上の対価である。

ADSをスポーツモードにすると、その表情が激変した。背筋がしゃんと伸びてしまうほど、咆哮はすさまじく、アシの動きもいきなり筋が通って俊敏になる。こうなると、その乗り味は、DBSの世界観に限りなく近づいたと言ってよく、気分もいっきに昂揚した。

一粒で二度美味しい。この貴族趣味の超高級ブランドにたいして、いささか失礼な表現かもしれないが、ADS付きのヴィラージュ(2300万~2500万円)にさえ乗ることができたならば、DB9(2000万~2300万円)とDBS(3300万~3600万円)の、その両方の世界観を味わええてしまうわけだから、やっぱり美味しい話じゃないか。もっとも、ホンマモンの貴族は、DB9とDBSを買って乗ってから、ヴィラージュを手にして同じようなことを、思うのだとしたら、思うのだと、ボクは思う……。
アストンマーティンヴィラージュ

センターコンソールにはガラス製のスイッチ(P、R、N、D)が並び、中央にエンジンスタート&ストップのスイッチになるキー差し込み口が配された。インテリアには7頭分のスカンジナビア産レザーが使われ、延べ70時間以上の手作業により仕上げられる

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