DB9よりもスポーティ、DBSよりもラグジュアリィ
ダンパーの減衰力を電子制御により、走行状況に合わせて10段階に変更するアダプティブダンピングシステム(ADS)を装備。専用チューンされたダイナミックスタビリティコントロール(DSC)は介入レベルを3段階に設定できる
走りの方もまた、アストンマーティンが狙った通り、要するに、DB9よりもスポーティで、DBSよりもラグジュアリィなライドフィールをもっていた。
最高出力497ps/最大トルク570Nmを発生する5.9リッターV12エンジンを搭載。ZF社と共同開発されたタッチトロニック2と呼ばれる6ATが組み合わせられた。最高速は299km/h、0-100km/h加速は4.6秒
ADSをスポーツモードにすると、その表情が激変した。背筋がしゃんと伸びてしまうほど、咆哮はすさまじく、アシの動きもいきなり筋が通って俊敏になる。こうなると、その乗り味は、DBSの世界観に限りなく近づいたと言ってよく、気分もいっきに昂揚した。
一粒で二度美味しい。この貴族趣味の超高級ブランドにたいして、いささか失礼な表現かもしれないが、ADS付きのヴィラージュ(2300万~2500万円)にさえ乗ることができたならば、DB9(2000万~2300万円)とDBS(3300万~3600万円)の、その両方の世界観を味わええてしまうわけだから、やっぱり美味しい話じゃないか。もっとも、ホンマモンの貴族は、DB9とDBSを買って乗ってから、ヴィラージュを手にして同じようなことを、思うのだとしたら、思うのだと、ボクは思う……。