独特の赤酢がいざなう江戸前寿司

この日のランチ握り。手前は煮イカ

この日のランチ握り。手前は煮イカ

暖簾の先の扉を開けると、「いらっしゃーい」の声と同時に、酢の匂いがプーンと鼻の奥を直撃します。こじんまりとした1階にはカウンターとテーブル席が3つほど。どちらも同じ白木でしょうか。白い座席カバーも含めて、古いながら凛とした清潔感を感じますね。

この日の昼時は混んでいたこともあり、友人と2人でテーブル席に座り、2人揃ってランチの握りをオーダーしました。高級店に属するであろう同店は年中無休。土日祝日にはない平日のランチメニュー「握り」と「ちらし」がお得です。

ランチのちらし

ランチのちらし

どちらもお椀が付いて1890円。これなら私の100年店ガイドの“しばり”である2000円以内というレンジに収まります。

すし店の握りの場合、提供の仕方は大きく分けて2つ。一人前(一通り)が、すし下駄や桶などに全貫揃った形で一気に出てくるタイプと、食べるペースに合わせて1、2貫ずつ出てくるタイプです。カウンター席では後者の1、2貫ずつが多かったりしますね。

この日はテーブル席。提供は3貫ずつ小さなすし下駄に載ってやってきました。少しでも握りたてを、という配慮を感じます。
 

光りモノ・小肌が入るランチ握り

食欲をそそる美しい車海老

食欲をそそる美しい車海老

寿司政のすしは独特の赤酢が特徴的です。「この酢はどんな酢なんですか?」と問い合わせる数人で来店のご婦人の姿も。入店時に感じたあの酢ですね。老舗のすし店では赤酢を使用する店がありますが、その多くはミツカンか横井醸造の業務用酢です。お話を伺うとこちらは横井醸造とのこと。赤酢の効いた小ぶりのシャリとこだわりのネタは、一品一品しっかり仕事を感じる“THE 江戸前”の印象です。

ランチ握りの小肌

ランチ握りの小肌

ランチ握りで光りモノ、小肌が入っているところも個人的にヒット。これまた酢〆が効いています。しかし、こちらのすしは、茹でた車海老を筆頭に見た目が美しい……。甘くないガリも含めて、“酢”を巧みに操る大人のすしを堪能。

満足できるすしとの出会いは、「日本人で良かった」というベタな感想も(決して恥ずかしいものではなく)、心底から湧き出るものなのでしょう。

出された握りをサクサクっとつまみ、すしを楽しみながら会話に花を咲かせている方々を後に、短時間で席を立ちました。そして、再び低い低い暖簾をくぐり颯爽と午後のお仕事へ……。

文久元年が目を引く置き看板

文久元年が目を引く置き看板

忙しいビジネスマンにとってランチタイムは、一旦仕事を離れホっと一息入れられる憩いの時間かもしれません。しかし、意図せず異業種の方(すし職人)の仕事や技に触れ、何かがインスパイアされる……そんなことを思わせる一店。

日本初のボウリング場ができた年に誕生し、(自然と背筋が伸びる!?)すし店で、ランチはいかがでしょう?



■寿司政
住所:東京都千代田区九段南1-4-4
TEL:03-3261-0621
営業時間:11:30~14:00、17:30~23:00
定休日:無休(土・日・祝のみ21:00まで)
地図:Yahoo! 地図情報

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