つまり税収を国の財源の確保ととらえると、どうしてもこの3税目、つまり所得税と法人税と消費税の増税に踏み込まざるをえないというのが税制の仕組みとなっています。
では、今なぜ消費税なのでしょうか。実際に税率はいつあがるのでしょうか。消費税をアップしないと国の財政が立ちいかなくなるのでしょうか。気になるところを整理してみました。
今、なぜ消費税なのか
下グラフは財務省ホームページで公表されている所得税・法人税・消費税の税収の推移表です。これをみると明らかなように、経済状況の良いいわゆるバブル期にあっては所得税と法人税が税収を牽引していることが分かります。一方、消費税は経済の好況・不況に関係がなく一定の税収を常に確保していて、経済の動向に左右されないことがわかります。
つまり所得税と法人税を増税しても経済の動向によっては思うような税収が見込めない場合が想定されますが、それに比べると消費税の方は経済動向の影響は少ないということができます。
とりわけ、消費税課税の税収割合はヨーロッパのいずれの諸国より低くなっています。このことも、税収論議が話題になるときに必ず消費税が引き合いにだされる理由のひとつと考えていいでしょう。
税率は2011年中にあがるのか
震災の復興財源の確保と考えると消費税はいつ上がってもおかしくないというような報道がなされることもありますが、2011年の下半期のどこかでいきなり上がるということはないでしょう。私の考えでは最短の場合でもあと1年半の猶予があると考えています。というのも、現状から消費税の税制改正論議を本格化させても、平成24年の税制改正項目に掲載されるかどうかぎりぎりのところですし、仮に平成24年の税制改正項目に掲載されたとしても、施行されるまでには1年ほどの準備期間が必要になると考えられるからです。
消費税は「薄く広く消費者に負担をもとめる」税制ですので、法人税や相続税のように税率の変更が即、施行ということにはならないでしょう。したがって、増税が行われるとしても現行では2010年代半ばまでに導入時期が決定され、そこから施行までは一定期間の猶予があるとみるのが妥当と考えます。
消費税をアップしないと国の財政は健全化しないのでしょうか?