モロッコに準じアルコールは置かない
レモン&いちじくソースでアクセントをきかせたいんげん豆のスープ「ビサラ」
ひと息ついた後、喉が渇いたなぁ、と思い、ドリンクメニューに目をやると、アルコール類がないことに気づく。モロッコは、イスラム圏であるので、基本的にアルコールは飲まない。観光地など、限られた場所ではアルコールを口にできるが、「タムタム」ではしっかりとモロッコ人目線。こんなところからも確固とした信念が感じられた。ただ、ここは日本。どこまでこの状態が保たれるのか、つい危惧をいだいてしまったが、オーナーは、アルコールを出すくらいなら国へ帰る、とおっしゃっているくらいなので、今後も自国の食光景をそのまま伝える稀有な存在となるのではないか、と思っている、が……。
目新しい料理の数々に惹きつけられる
豪快にカットされた羊肉とたっぷり野菜をじっくり煮込んだ「羊肉のクスクス」。ソースが足りなければ店員に声をかけてみて
料理は、種類こそ少ないが、前菜、スープ、デザートなど、他ではあまり見かけない料理がちらほらあり、どれにしようか……と迷いの極致に達してしまうラインナップ。基本的に、料理構成は、冷たい前菜と温かい前菜(スープを含む)に、主菜のクスクスとタジン(パンつき)、本日のデザートとなっている。値段は、前菜とデザートはすべて500円。主菜はどれも1200円。と、明瞭会計。クスクスやタジンは、使う材料を問わずに同値段とは、かなりの太っ腹である。
この値段設定だと、タパスのように量が少ないのかと思いきや、オナカにずっしりとくるほどの盛り具合で、いやはや驚いてしまう。冷たい前菜では、3種盛り合わせを頼んでみたら(ちなみに値段は650円)、サービスでもう1品ついてきたうえに、バカリールと呼ばれる薄いパンケーキまでがつき、しかも1品ずつはこんもりとした盛りで、かなりの充実ぶりだった。タジンやクスクスのボリュームも申し分なし。特にクスクスは、こんなゴロゴロした羊肉が入っていて、野菜もこんなにたっぷり入って、この値段でいいの?と嬉しさ半分、心配も半分してしまったほどである。