比較的治安のいい都市クアラルンプール
クアラルンプールは、アジアのなかで比較的治安のいい都市です。政府が治安の安定に力を注いでいますし、多民族が暮らす国際色豊かな大都市なので、他国からの観光客があまり目立たないというのも理由にあります。そうはいってもここは海外。日本の感覚で行動しては“不注意”になってしまいます。人気のない道や夜中の外出は極力避けるようにしましょう。
クアラルンプールの犯罪には、いくつかパターンがあります。よく発生している犯罪の被害例と対策法を紹介します。
<目次>
引ったくり
歩道を歩くときは、なるべく車道から遠い場所を歩くと引ったくり予防に
4年の滞在中に1度ですが、私も引ったくりに遭いました。夜20時半、帰宅途中。2人乗りのオートバイが正面から突っ込んできて、肩にかけていたバックの取っ手をつかみ、そのままスピードをあげて逃走。幸いにケガはありませんでしたが、数秒間立ちすくんでしまうほど精神的にショックでした。
対策としては、とにかくバックを持たないこと。お金はポケットに(スリには注意)。クレジットカードなどの重要なものは、首から下げるポーチに入れて洋服の内側にしまい、外から見えないようにするといいでしょう。バックを持つときは、車道と反対側の肩にかけ、ブランドものは避けましょう。バックをたすきがけにするのは、万が一襲われた際に引きずられる可能性があるので、あまりおすすめしません。また、歩いているときは、絶えず周りの音や状況に注意を向けること。後をつけているようなバイク音がしたら、近くのお店に入るなどして状況を把握するように。
いかさま賭博
KLCCの公園、チャイナタウンなどで詐欺師に話しかけられることが多い
詐欺集団がよく現れるのは、KLCC周辺、ブキビンタンのショッピングセンター、チャイナタウンなど観光客の多い場所。女性1人、女性2人組、男女2人組など様々なパターンで行動し、片言の日本語で話しかけることもあります。とにかく「知り合い(または親戚)が日本の○○(有名大学、有名企業の名前を出すことが多い)にいて、たまたま家に帰っている」という話には注意しましょう。
スリ
スリにはいくつものパターンがあります。これは万国共通ですが、人混みには特に注意して下さい。マレーシア在住の日本人が実際に被害に遭った事件を2つほど紹介しましょう。■ショッピングセンターのエレベーター(マレーシアではリフトと呼ぶ)内
エレベーターのドアが閉まろうとしたとき、慌てて乗り込んでくる人が数名。彼らに気を取られていると、いつの間にか財布が盗難。エレベーターに乗り込む人と中の人がグルになっていた。同じような手口で、エスカレーターの上り口付近に人がたむろし、前が詰まって降りれない。その混乱の際に財布が盗まれた、というのも。
■ショッピングセンター内で、制服を着た警官(ニセ)に
「偽札チェックのために財布を見せてほしい」と、警官(ニセ)に呼び止められる。警官(ニセ)は持ち主の目の前で財布をチェックし、「問題ない」ときちんと返してくれる。ところが、あとで調べてみるとお札が数枚少なくなっている。被害に遭った人は、「目の前で見ていたのに、まったく気付かなかった」とコメント。
スリへの対策は、お金やカメラなど貴重品の入ったバックは絶えず目の届く場所に。人混みのなかでは、胸の前にバックを抱えておくといいでしょう。警官と名乗る人物に呼び止められたら、気になったことは何でも質問してみましょう。
酸性の液体をかける通り魔
バイクに乗車した犯人が、酸の入った液体を無差別にふりかける犯罪。昼夜を問わずクアラルンプールの路上で発生し、液体がかかると火傷してしまいます。対策としては、不審なバイクがいないか注意し、近づいてくるバイクがいれば様子をうかがうこと。人通りの少ない道を歩くのは避け、避難できるようなショップやオフィスに面した道を歩くようにしましょう。被害を最小限にとどめるために、長袖シャツ、長ズボンの着用も効果的です。
クレジットカードのスキミング
クレジットカードを使用した際に情報を読み取られ、知らない間にカードを悪用されるという犯罪。事前の対策が難しい犯罪で、できることは、カードを利用するお店選びを慎重にし、帰国したらカードの利用明細をきちんとチェックすること。また、スキミング対策としてICチップを埋め込んだICカードを準備するのも大切です。ちなみに、ICカードをマレーシアで利用するときは、原則としてPINコード(暗証番号)の入力が必要なので、知らない人は事前に確認しておきましょう。