西郷理恵子の恋愛コラム/西郷 理恵子の恋愛情報

恋愛大国フランスでは、なぜ結婚に人気がないのか?(2ページ目)

フランスといえば、恋愛大国というイメージが強いですが、実際のところはどうなのでしょうか?2011年3月に『ママより女』(小学館)を出版されたフランス人ジャーナリスト、ドラ・トーザンさんに、フランス人の恋愛観や結婚事情について、そして日本との違いなどについて伺いました。

西郷 理恵子

執筆者:西郷 理恵子

恋愛ガイド

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西郷:都市部と地方では違いがありますか?

パリジェンヌは、ウエディングドレスへの憧れは薄い

パリジェンヌは、ウエディングドレスへの憧れは薄い

ドラさん:同じフランスでも、パリと田舎は少し事情が異なりますね。田舎は伝統的な生き方が続いていて、パクスはあまりなくて、ホワイトドレスで結婚式という人たちもいます。それに、自由化の反動か、最近の20代は少し保守的になっていて、セレモニーしたいと思うカップルもいます。それでも結婚のパーティーは、やるとしても、家かレストランでするので、そもそもブライダル・ビジネスが成り立たちませんね。

私の妹は、ユニオン・リーブルで最初の子どもを産んで、2人目を妊娠中に、彼と二人だけで5分の結婚式をしました。全くセレモニーなしで、彼女もすぐ仕事に戻りましたよ。私も呼ばれていないんです(笑)。皆がそうではないけれど、フランスではカトリックの影響力が下がって、セレモニーより便利さを優先する人が多くなってきています。

結婚と子どもは別

西郷:日本では、子供を持つためには結婚が必要と考える人が多いです。最近では「デキ婚」も増えています。フランスでは、どうですか?

ドラさん:「結婚→子供」というパターンは、フランスでは、もう少数派ですね。相手が好きだから一緒に暮らして、愛しているから子どもを作る、という自然な流れ。「結婚」と「子ども」は完全に別々の事柄と考えられています。

実際に、結婚だけでなく、ユニオン・リーブルやパクスのカップルにも子供を持つ人はたくさんいて、今では婚外子の割合が過半数を超えています。婚外子の差別が法的になくなったことも大きいですね。

結婚している場合は必要ありませんが、ユニオン・リーブルとパクスの場合には、子どもが生まれたら、父親は、役所に「この子どもの父親は自分です」と届け出を出します。子どもへの相続と結婚とは全く関係がありません。

相続はまず、法的な自分の子どもに行く。フランスでは、たとえ遺言を書いても財産の約75%~80%は子どもに相続されます。法律的には平等の分配になります。だから、父親が亡くなった時に、会ったこともない異母兄弟が現れて、ビックリするケースもあると聞きますよ。

故ミッテラン大統領は、大統領就任時に隠し子が現れて話題にもなりました。記者から、そのことを問われて、“Et alors?”(それが何か?)と答え、それで終わり。スキャンダルになることはありませんでした。でも、公金でその娘を育てていたことが判明し、それについては非難されました。シラク大統領も愛人が何人もいましたが、政治的スキャンダルには全くならなかったんです。フランスでは、政治とプライベートとは分けて考えられ、愛に人生を捧げた人は、不倫であっても、高い評価を受けています。

また、現在のサルコジ大統領は3回目の再婚をして、妻のカーラさんは妊娠中で、サルコジ大統領にとっては、4人目の子どもですね。2番目の妻のセシリアは2人の連れ子がいたし、カーラさんも前のパートナーとの子どもがいます。このような複合家族は、結婚の有無に関係なく、一般の家族でも最近、増えていますよ。いろんな家族の形が当たり前に存在しています。
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