睡眠不足症候群の症状
毎日6時間も眠っているのにまだ眠い!という人はアブナイです
日本では、慢性的に日中の強い眠気を訴えて医療機関を受診する人のうち、7%がこの病気と診断されています。しかし、本当の患者さんはこの数倍いるのではないかと考えられています。
主な症状は夜間の睡眠不足とそれによる昼間の強い眠気ですが、睡眠不足を自覚していない場合には、寝つきが悪いなどの不眠症状を訴えることもあります。時間に余裕がある週末や休暇の時には、普段より長い時間眠って自然に目覚めます。
睡眠不足のため脳の働きが低下して、強い疲労感や倦怠感、無気力、意欲低下、落ち着きのなさ、注意力散漫、協調性の欠如、攻撃性の高まりなどが見られます。また、食欲不振や胃腸障害、筋肉痛を訴えることもあります。睡眠不足の状態が長く続くと、次第に不安が強くなりうつ状態になることもあります。
思春期前の子どもの場合は、自分から眠気を訴えないことがあります。そのような場合でも、不機嫌や注意力散漫、食欲不振など、眠気が原因と思われる行動異常が見られます。
睡眠不足症候群になりやすい人
仕事も私生活も充実しすぎると、睡眠不足になりがちです
1. 多忙タイプ 仕事や勉強のために睡眠時間を削らざるを得ない人、たとえば働き盛りの労働者や受験生に多く見られます。最近では、子どもを育てながら外で働いている既婚女性にも増えてきました。性格的には、完ぺき主義や几帳面といったことの影響もあるようです。
2. 夜更かしタイプ 夜更かしをして眠ろうとしない人たち。このタイプはさらに、「睡眠時間=無駄な時間」と思っていて、テレビやインターネット、メール、ゲームなどをするために睡眠時間を削る「睡眠時間節約派」と、家族が起きているからなんとなく眠らないという「覚醒時間浪費派」に分かれます。
3. 長時間睡眠タイプ
1日の睡眠時間が10時間以上必要な「長時間睡眠者」や、日常的に必要な睡眠時間が8~10時間の「長時間睡眠傾向者」は、日本での平均睡眠時間である7時間20分眠っても睡眠不足となります。
睡眠不足症候群の診断
睡眠不足症候群の診断は、国際睡眠障害分類第2版による診断基準に沿って行われます。そのときに一番大事なことは、睡眠日誌やアクチグラフ(携帯型活動量計)で特徴的な睡眠のパターンを確認することです。この病気では、平日の睡眠時間がとても少なく、それを取り戻すために休みの日には長い睡眠時間をとっています。しかし多くの場合、本人が睡眠不足を自覚していません。日中の強い眠気を起こすほかの病気として、睡眠時無呼吸症候群やナルコレプシー、外傷性過眠症、むずむず脚症候群などがあります。これらの病気が疑われたら、問診や診察、終夜睡眠ポリグラフ、睡眠潜時反復テストなどできちんと診断する必要があります。
睡眠不足症候群の治療
まずは、眠った時刻と目覚めた時刻を記録しましょう
また、毎日8時間以上の睡眠が必要な長時間睡眠傾向者では、必要な睡眠時間は人それぞれで違うことや、体質的に睡眠不足になりやすいことをよく理解して、必要な睡眠時間を確保する工夫が必要になります。
つぎに、生活の習慣を改めるようにしましょう。特に夜更かし型では、睡眠を妨げる良くない生活習慣が睡眠不足の主因です。カフェインやタバコなどの刺激物は、夜遅くなったら摂らないようにしましょう。さらに、テレビやビデオゲーム、メールチェック、ネットサーフィンなどは、画面の光が眠気を減らすので控えるほうがよく眠れます。
多忙型では、勤務や勉強のスケジュールを再検討する必要があります。忙しい勤務者の場合は、会社の理解が必要となります。勤務中の眠気や作業能率の低下により生じる不利益を会社に説明して、時間外勤務を減らしてもらったり、日中に仮眠しやすい環境を整えたりしてみてください。学生のばあいは、学校の授業や部活、塾などの優先順位を見直して、十分な睡眠時間を確保できるように努めましょう。
夜の睡眠時間が不足するなら、昼間に仮眠を積極的にとりましょう。午後3時以降や30分を超える昼寝は、夜の睡眠に悪影響があります。昼寝をするなら、お昼休みから午後3時までの間で、若い人は20分くらい、高齢者でも30分以内にとどめておきましょう。