前回の記事(女性などの正社員化を後押しする助成金)は、非正規社員の正社員化を促進するための助成金(均等待遇・正社員化推進奨励金)を紹介しました。この助成金は、非正規社員と正社員間の待遇を改善する場合にも使えます。

今回は、正社員と同様の「共通処遇制度」「共通教育訓練制度」「短時間正社員制度」を設けた場合などでの活用法を紹介します。

非正規労働者の待遇は低く抑えられてきた

雇用形態の多様化で非正規労働者の割合が年々高くなっています。現在では労働者の3分の1が非正規労働者です。

非正規労働者を活用する企業の目的は、雇用の柔軟度を上げることと人件費コストを削減するところにあります。有期契約の非正規労働者であれば、景気の波に合わせて機動的に採用と雇い止めを行うことで、柔軟に雇用調整が可能です。また非正規労働者は家計補助的に働く主婦が中心だったので、賃金もそれなりに抑えることができました。

今後は非正規労働者の待遇改善が課題に

しかし、労働人口の減少など構造的な問題を抱える今後は、企業は非正規の待遇を向上させ、正社員並みに処遇していくことが求められるでしょう。既に飲食・小売などのサービス業では、主婦のパートタイマーを店長に登用するなど、パートタイマーを基幹業務に就け、処遇も引き上げるケースが増えています。

これからはパートタイマーなどの非正規社社員のモチベーションを向上させ、個々の資質を伸ばし、職場に定着させることが企業の生産性向上のためには不可欠となり、そのための仕組づくりが重要な課題となります。

法律面でも2008(平成20)年4月にパートタイム労働法が改正され、企業は賃金、福利厚生、教育訓練などの待遇においてパートタイマーに配慮し、正社員との公平性を保つ制度づくりを行うことが求められています。

そこで企業の非正規社員の待遇改善を奨励するために、正社員と共通の処遇制度を新たに導入した企業に対する助成金(均等待遇・正社員化推進奨励金)が創設されたのです。

共通処遇制度を導入し非正規社員の処遇改善を図る

この助成金は、正社員と共通の処遇制度を新たに導入したときに支給されます。ポイントは評価基準をきちんと定めて、制度として運用する点にあります。

■ 概要
正社員とパートタイマーなどの非正規社員との共通の処遇制度を設けたときに支給されます。

「共通処遇制度」とは、正社員と共通の評価・資格制度です。労働者の職務または能力に応じた区分を設け、その区分に応じて基本給・賞与などの待遇が定められている制度をいいます。

■ 支給額
1事業主につき、中小企業60万円、大企業50万円が支給されます。共通処遇制度を適用した対象労働者に6ヶ月分の賃金を支給した後に申請できます。具体的には6ヶ月分の賃金を支給した日の翌日から起算して3ヶ月以内に支給申請する必要があります。

■ 留意点
  • 労働協約または就業規則などに明文化する必要があります。
  • 支給対象となる期間は最初に制度を導入してから2年以内です。制度導入日から処遇制度の適用となる非正規社員が出るまであまり間が空くと受給できません。ご注意ください。
  • 制度導入日とは、労働協約はその締結日、就業規則の場合は事業所を管轄する労働基準監督署に届け出た日のことです。