日本生まれの旅する鉛筆
コーリン鉛筆の前身、赤木廣八商店が創業当時に作ったポスター
ターニングポイントと言えるのが、鉛筆「ハイピアス」の発売だ。“舶来の鉛筆は品質が良い”という既成概念を覆す出来栄えであり、かなりの評判を呼んだ。そしてもうひとつ岐路は倒産。順調に成長を遂げると思われたコーリン鉛筆は、国内の鉛筆メーカーとして業界3位の売上を誇ったこともあるほどだったが、時流を読み違えて過剰に投資を行ったのが災いしてか、1997年に倒産を迎えている。
しかし、遠い異国の地であるタイに一粒の種が撒かれていた。日本のコーリン鉛筆は消滅したものの、タイの工場ではブランドが守られ、今もなお製造を続けている。タイでのシェアは約50%。東南アジア各国や香港、南アフリカなどにも輸出されている。そして2009年、コーリン色鉛筆が設立され、“女の子”は母国の日本に舞い戻ることができた。
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