ステーショナリー・文房具/鉛筆ブランドの歴史とフラッグシップモデル

コーリンの歴史と鉛筆

コーリンの歴史と、代表的な鉛筆を紹介します。

土橋 正

執筆者:土橋 正

ステーショナリーガイド

日本生まれの旅する鉛筆

コーリン鉛筆の前身、赤木廣八商店が創業当時に作ったポスター

コーリン鉛筆の前身、赤木廣八商店が創業当時に作ったポスター

東京の東神田に創業者の名を冠した赤木廣八商店が創業した。大正から昭和にかけ、田端や足立に工場を増やしながら、多くの鉛筆や色鉛筆を製造。海外にも商品を輸出していた。その中に“コーリン”という商品があった。アイルランド語で“女の子”とうい意味の名前は、(今ではその理由を確かめる術がないのだが)平和の象徴として牧歌的な国の可愛らしい単語を取ったのかもしれない。一度見たら忘れられない三角形をした横顔のロゴも特徴的だったためか、一商品の名前が社名へと昇華し、コーリン鉛筆が生まれた。これが1947年のことである。

ターニングポイントと言えるのが、鉛筆「ハイピアス」の発売だ。“舶来の鉛筆は品質が良い”という既成概念を覆す出来栄えであり、かなりの評判を呼んだ。そしてもうひとつ岐路は倒産。順調に成長を遂げると思われたコーリン鉛筆は、国内の鉛筆メーカーとして業界3位の売上を誇ったこともあるほどだったが、時流を読み違えて過剰に投資を行ったのが災いしてか、1997年に倒産を迎えている。

しかし、遠い異国の地であるタイに一粒の種が撒かれていた。日本のコーリン鉛筆は消滅したものの、タイの工場ではブランドが守られ、今もなお製造を続けている。タイでのシェアは約50%。東南アジア各国や香港、南アフリカなどにも輸出されている。そして2009年、コーリン色鉛筆が設立され、“女の子”は母国の日本に舞い戻ることができた。


次のページでは、さらなる歴史とブランドの代表的モデルを紹介する。
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