中古住宅・中古一戸建て/中古住宅の購入術

中古一戸建て購入~中古物件選びの基礎知識

マイホームを購入するとき、新築と中古のどちらにするべきか悩むこともあるでしょうが、単に物件の新しさが異なるだけではなく、その探し方や契約方法にも違いがあります。中古一戸建て住宅を購入する際にはどのような特徴があるのか、あらかじめよく理解しておきましょう。(2017年改訂版、初出:2011年6月)

執筆者:平野 雅之


一戸建て住宅を購入するときに「新築か中古か」というのは一つの大きなテーマです。自分たちの気にいった住宅が見つかれば、「新築でも中古でも、どちらでも構わない」というケースも多いでしょうが、それぞれに良いところがあってなかなか単純には決められないものです。

今回は中古一戸建て住宅を探すときや選ぶときに、まず知っておきたい基本的なポイントについてまとめてみました。


物件によって建物の違いが大きい中古一戸建て住宅

一戸建て住宅の庭

中古一戸建て住宅には売主の個性が強く表れていることも(写真は売却物件ではありません)

新築一戸建て住宅、とくに建売住宅では「売りやすさ」が売主業者にとって大きな課題です。

そのため、万人受けするようなグレードや設備、間取りなどが多くなり、建物ごとの違いはそれほど大きくありません。

もちろん新築一戸建て住宅でも、売主業者により建物の良し悪しやグレードの差は生じるものの、価格(坪単価など)の違いは主に立地による土地価格の高低に大きく左右されがちです。

しかし、中古一戸建て住宅の場合には、築年数や設備・仕様の年代が物件ごとに異なるだけでなく、新築当時は建売住宅だった物件も、注文住宅だった物件も、古い建物を再生した物件も入り混じり、その建物の経歴は千差万別です。

ときには売主のご主人が、趣味の日曜大工で改造を積み重ねたような物件もあるでしょう。

とくに当初は注文住宅だった物件の場合は、売主の趣味や嗜好が大きく反映され、独特な造りになっている場合もあります。さらに庭や外構にも、売主のセンスや個性が強く表れてきます。もちろん何も手を加えられず、シンプルなままのケースも少なくありません。

また、同じ築年数の中古一戸建て住宅を見比べた場合でも、売主によるメンテナンスの度合いによって、大きな差が生まれがちです。

したがって、中古一戸建て住宅を選ぶときには、それぞれの違いをよく見極めて吟味することが大切であり、ある程度の数の物件を見て、自らの目を養うことも必要です。


中古一戸建て住宅の売主は個人であることが大半

改めて説明するまでもありませんが、中古住宅の売主は個人のことが大半です。ときには不動産業者が買い取って再販している物件もありますが、流通市場全体でみればほんの一部です。

新築住宅の場合には売主業者が商売として販売しているのであり、もし見学の予約をドタキャンしても基本的には許されます。それでいちいち怒るような売主業者もいないはずです。

ところが、中古住宅の場合にはあなたの見学予約に合わせて、売主が仕事を休んだり途中で抜け出したりして待機しているケースもあります。急にキャンセルをすれば、怒ることはないとしても確実に気分は害するでしょう。

不動産の売買は交渉事の積み重ねですから、相手側の心証を悪くするようなことはできるかぎり避けたいものです。「自分が売主だったら」と立場を置き換えて考えてみれば、それほど難しい話ではありません。


敷地境界などが曖昧な物件も

新築住宅の場合は、敷地境界の確定や、樹木・構造物の越境問題、都市ガス・上下水道の埋設管の問題、擁壁の問題、その他の物件に関する問題などがあれば、原則的にすべてをクリアにしてから販売が開始されます。

ところが、中古住宅の場合は何らかの問題点が曖昧なままにされているケースも少なくありません。これらをしっかりと把握し、問題があればそれを解決してから売買契約を締結、あるいは引き渡しを受けられるように、適切な対応が求められます。

問題点の解消にあたっては、売主との交渉や駆け引きを伴う場合もあるでしょう。

中古住宅の購入で失敗しないためには、媒介業者の果たす役割が大きく、媒介業者あるいはその担当者の良し悪しがその後を左右することにもなります。もちろん、何ら問題のない物件であれば、誰が媒介をしても大きなトラブルは生じないのですが……。


良い担当者選びが成功の近道!?

新築一戸建て住宅の場合には、不動産業者によって取り扱う情報が異なることもあります。

しかし、中古住宅(中古一戸建て、中古マンション)の場合には、不動産業者間の情報交換システム(レインズ)により、たいていの物件についてはどの不動産業者でも共通の情報を得ることができます。

もし複数の不動産業者に依頼をして、それぞれから情報提供される物件が異なるとしたら、あなたの希望条件などに対する担当者の理解度の相違、あるいは数多くの物件情報のなかにおける取捨選択の違いでしかありません。

一部には、いわゆる「囲い込み」によって他社から紹介されないように操作されている物件もありますが……。

その一方で、上でも説明したように中古住宅の購入にあたって媒介業者の果たす役割は大きく、物件の良いところも悪いところもしっかりと適切な説明をしたうえで、売主側との交渉もきちんとしてくれる担当者であることが求められます。

もっと良い物件が他にないかとあちこちの業者へ問い合わせをするよりも、信頼できそうな一人の担当者を先に見つけて、その媒介業者にすべてを任せてしまったほうが結果的にうまくいくことも多いでしょう。


媒介手数料は原則として必要

中古住宅の場合には原則として媒介手数料が必要です。不動産業者が買い取って再販している中古住宅の場合には不要のこともありますが、たいていは媒介業者を通して購入をし、媒介手数料の支払いを求められることになります。

購入諸経費のなかで媒介手数料が占める割合は比較的大きなものであり、これを余分な支払いだと感じる人もいるでしょう。また、「媒介手数料の負担が嫌だから新築のほうが良い」と考える人がいるかもしれません。

しかし、新築住宅の販売価格には膨大な広告宣伝費、モデルハウスなどの設置・運営費用、多くの人の人件費、さまざまな販促費用なども販売価格に含まれているのであり、「媒介手数料が必要だから中古住宅は損だ」というわけではないのです。

逆に媒介手数料は間違いのない住宅選びをするための必要経費と考え、高額な負担をするぶん、それに見合うように営業担当者にはしっかりと働いてもらうことを考えましょう。

なお、売主から媒介手数料を得られる物件に限定して紹介をすることで、買主の手数料負担を無料などとしている不動産業者もあります。


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※記事内容は執筆時点のものです。最新の内容をご確認ください。

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