汗臭さを感じさせないために! 基本のニオイ対策法
皮膚の脂肪である「皮脂」は、皮膚の乾燥を防ぐはたらきがあります。空気が乾燥する冬には、様々なクリームで皮脂を補うことが推奨されています。皮膚の脂肪は体臭の元になるので、皮脂をなくす、そこまでは無理でも減らすことができれば、体臭は減らせることになります。または、皮脂を分解する細菌数を減らすことができれば体臭は減らせるのです。理由を合理的に説明するのは難しいのですが、解剖学的にみると皮膚が乾燥することがない腋は、皮脂の分泌が一番多い部位です。汗腺、脂腺(毛根が出口の脂腺・毛根と独立した脂腺)は表皮の下にある真皮、皮下脂肪から導管を角化層まで伸ばしています。この導管には、臭いの原因となる菌がたくさん潜んでいます。
例えば、数十秒指先をアルコールで消毒した場合、消毒直後の指先からは何の菌も検出されません。しかしその後で清潔な手袋を手に装着し、数時間後に手袋を取って指先を培養すると、菌でいっぱいになっていることがわかります。これは導管の出口、毛根の付け根は消毒できても、導管の中や毛に沿った部分は消毒できないためです。
導管の中のケアまでは難しいですが、臭いはシャワーを浴びれば取れるのかという疑問を持つ人もいます。これについては面白い例があります。ヒトよりも嗅覚が鋭い動物である犬と同じ科の狼を研究している人の話です。狼は群れで行動していますが、ロシアにいる狼研究者は、飼育しているある群れと接触した後は、シャワーを浴びてから別の群に接触するようにしているそうです。シャワーを浴びれば前の群からの臭いを落とすことが可能だからです。嗅覚が鋭い狼に対してもシャワーによる臭い対策が有効ということを考えれば、嗅覚が弱いヒトに対して、シャワーは極めて有効だと考えられます。落とすことができても、時間がたてば、その時の個人の状態に応じた体臭となります。
腋の臭い、汗臭さの対処法・手術
腋の臭い対策としては、脱毛、除毛が有効です。男性の場合は少し抵抗があるかもしれませんが、腋の毛を脱毛したり、抜いたり、剃ったりなどの簡単な方法で減らすことで、腋の臭いは抑えることができます。毛に付着する分の細菌数を大幅に減らすことができるからです。また、日中はアルコール綿に近い市販のウェットティッシュなどを持ち歩き、トイレの個室などで腋の脂を落とすようにするのもよいでしょう。もちろん、アルコールを使っても導管の中までは殺菌できないので、効果は一時期なものです。しかし、外にいる間の汗臭さはかなり軽減することができます。また、腋臭が強い場合は、毛根や脂腺まで含めて手術で切除することも可能です。腋なので傷痕は目立ちませんが、腋の手術では、最悪の場合は皮膚が引きつれて手の動きに制限が出るというリスクもあります。また、腋を手術しても他の部位の体臭が強い場合、臭いの根本的な解決にはなりません。手術を受ける場合は少し慎重に考えた方がよいでしょう。
足の臭い、靴の臭いの対処法
足の臭い対策は、正直少し難しいところです。特に男性がビジネスシーンで履かなければならない革靴は、欧州で発達したもので、高温多湿の日本の夏に使用すること自体に無理があります。本当は靴をこまめに履き替えて、雑菌の繁殖を防ぐのが一番ですが、それが難しい場合は、汗を含んだ靴下を複数回代えるのが一番確実な方法です。夜に靴を脱がなければならない会食の予定などがある場合は、出かける前に履き替えることをオススメします。それでも臭いが気になる人に……逆転の発想法
体臭は個人差もありますが、それ以上に人種差もあります。日本人を含めてモンゴロイドは体臭があまり強くありません。職場や学校で自分の体臭が強いかもと気づき、どうしても気になってしまう場合、非モンゴロイドが多い環境で働いたり、勉強したりしてしまうのも手です。非モンゴロイドが多い外資系の企業で働いたり、欧州や米国へ留学したりという発想の転換は、ちょっと勇気がいる方法かもしれませんが有効です。また、体臭が気になるからと男女ともに香水を使う人も多いようですが、できれば国産品の使用をオススメします。香水文化が発達したのはヨーロッパですが、体臭が強い非モンゴロイド系の中で発達した香りは、やはり日本人には少し強すぎることが多いようです。日本では独自の文化として、香水文化は欧州ほど発達しませんでした。自分の臭いが気になる方は、まずは国産の香水から試すのが賢明ではないでしょうか。
制汗剤や消臭スプレーをあえて薦めない理由
体臭、汗の場合だと制汗剤、靴の場合だと消臭スプレーの話が当然出てくるはずです。体臭に対して何かを使って減少させる事ができて、使用した人が満足感を得られる事は良いことです。体臭は健康に被害を及ぼす事はありません。実は制汗剤、消臭スプレーの使用は健康被害を及ぼすことがあります。制汗剤、消臭スプレーの成分表を見ると成分に金属を含む製品が多い事がわかります。発汗が多い時期にメガネの枠や時計の金属アレルギーが起きやすいのは確かです。制汗剤、消臭スプレーの使用中に金属アレルギーが起こる可能性があります。金属アレルギーがやっかいなのは、メガネや時計や、制汗剤、消臭スプレーを問わず、使い始めはなんともないのに、ある日突然起きることです。制汗剤、消臭スプレーの使用中に皮膚に違和感を覚えたら皮膚科を受診してください。金属アレルギーの検査のパッチテストは48時間かかるので暑い夏にはお薦めしません。