分散投資で大事な資産管理、リバランスの方法を解説
投資信託は、自分の投資目的やリスク許容度にあった資産配分を検討し、その資産配分にあわせて組み合わせるのが基本です(資産配分のつくり方はこちらを参照「初心者必見!コツコツ派のポートフォリオの作り方」)しかし自分にとって最適な資産配分で投資したら後は安心、というわけではありません。マーケットは常に変動していくので、時間の経過とともに資産配分の比率は当初から徐々にズレていくからです。
あらかじめ分散投資されたバランス型ファンドであれば資産配分はプロの手で一定に保たれますが、自分で商品を組み合わせる場合は、定期的に資産の比率をチェックし、ズレた比率を元の比率に戻す「リバランス」を行っていく必要があります。
リバランスが大事な理由
もし、ズレた資産配分をそのままにしておくとどうなるのでしょう?いつのまにか想定以上の大きなリスクをとってしまっていたり、期待できるリターンが小さくなってしまっている可能性があります。自分の目的に合った運用を行っていくためには、定期的に資産配分をメンテナンスすることが大事なのです。リバランスを行うことで運用成績における効果もあります。リバランスは割合が大きくなった資産=値上がりして割高になっている資産を売り、割合が小さくなった資産=相対的に割安になっている資産を買うという作業になります。よって、自分ではなかなかできない「安く買って高く売る」という投資行動が自然に行えることになります。リバランスをしない場合よりもリスクが抑えられ、収益率がアップするという効果が期待できるのです。
≪参考サイト:モーニングスター「アナリストの視点」『分散投資におけるリバランスの効果』≫
<リバランスすることで期待できる効果>
・自分に合ったリスクとリターンを維持できる
・(リバランスを行わない場合にくらべ)リスクとリターンが改善される
リバランスの2つの方法
リバランスの方法には2種類あります。次のケースでみてみましょう。「債券:株式」の比率が「50:50」、「国内:外国」が「30:20」のポートフォリオを、下の図のように国内外の債券投資信託と株式投資信託で組んで運用をスタート。1年後には株式投資信託が値上がりし、債券投資信託が値下がりして「債券:株式」の比率が「40:60」に変化しています。時価評価額は当初よりも増えていますが、この状態だと当初の想定以上に高いリスクを負っていることになります。
<リバランスの方法:その1>運用資産の中で行う
まず一つ目の方法が、割合の膨らんだ投資信託を売却し、割合の縮んだ投資信託を購入して運用資産内でバランスを調整するやり方です。
このケースでは国内株式投資信託、外国株式投資信託をそれぞれ6万円分ずつ売却。そのお金で国内債券投資信託と外国債券投資信託を購入すれば元の比率に戻せます。
ただし、実際には投資信託の売却益に税金がかかります。また、売却時の信託財産留保額や購入時の申込手数料といったコストもかかりますから注意しましょう。
<リバランスの方法:その2>新たな資金を投入して行う
もう一つの方法は、割合の膨らんだ投資信託を売却せず、新たに資金を投入することで元の比率に戻すやり方です。こちらだと税金や信託財産留保額はかかりません。
このケースでは24万円の資金を追加投入し、国内債券投資信託と外国債券投資信託を購入してバランスを調整します。
一度ではなく複数回に分けて購入してもOK。積立投資の場合は割合の膨らんだ商品の積立額を減らし、割合の小さくなった商品の積立額を増やして調節する手もあります。
リバランスはいつ行えばいい?
リバランスは1年に1回程度行うのが効果的といわれています。年に何回も行うとその分コストがかかって運用効率が低下してしまう可能性があるからです。また、トレンドが継続しているのに早く値上がり資産を売って値下がり資産を買ったのでは運用成果を伸ばすことができません。市場のサイクルを利用するにはある程度の期間を置いて行う方が有効です。「ボーナス時期」「年末」などあらかじめチェックする日を決めておき、資産比率に5~10%程度のかい離が生じていたらリバランスをおこなうようにしましょう。あとは特定の資産が急に大きく値上がりしたり値下がりしたりした場面で臨機応変にリバランスを行うことがオススメです。
記事監修/鈴木弥生(All About預金ガイド)
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