実際の購入を検討する住宅や土地が見つかったら、その周辺を歩いて道路の様子もしっかりと観察してみましょう。ほとんどアスファルト舗装されていることと思いますが、その路面に亀裂やひび割れが生じているケースも少なくありません。
道路に亀裂やひび割れが生じる原因はさまざまです。地震によって一瞬にできる亀裂もあれば、長年の劣化、疲労によってできるものもあります。アスファルト舗装面の温度変化に伴う収縮・膨張の繰り返しによる亀裂や、過大な交通量による反復作用で生じる亀裂、寒冷地であれば土壌凍結などによって「低温ひび割れ」が生じる場合もあるようです。工事の不良によるものも、決してないとは言えないでしょう。
また、それまでなかったところに新設された道路では、盛り土をしたうえでアスファルト舗装がされている場合もあります。そのような道路の亀裂なら、盛り土の締め固めが不十分だったことも考えられるため、必ずしも周辺宅地の地盤と関係があるとはいえません。
しかし、古くからある道路、宅地と同一平面上の道路、宅地より低い位置にある道路などで亀裂やひび割れが目立つようであれば、地盤に問題がないかどうか十分に注意が必要です。劣化などに伴う亀裂やひび割れは、舗装の継ぎ目などに直線状に生じることが多いようですから、そうでない不規則な亀裂などの場合には特に気を付けなければなりません。
下の写真は東京近郊の某市で4年ほど前に見つけたものですが、古くからある街道沿いの歩道に亀裂、ひび割れが延々と200メートルあまり続いていました。調べてみると実際に地盤が弱いようで、これに面した家の裏側では地盤の沈下も見られました。
極端な亀裂やひび割れは誰でも気付くものですが、これらがきれいに補修された直後にはなかなか分からないものです。何らかの異常がないか、神経を研ぎ澄まして周囲をじっくりと観察することも必要でしょう。
周辺の道路に亀裂やひび割れが目立つときには、住宅や土地の購入を決める前にしっかりと地盤調査をしてもらうことも考えるべきです。それが難しい場合でも、地盤に関する公的な資料をよく調べるなど細心の注意は欠かせません。
もし、敷地の地盤そのものには問題がなくても、道路の亀裂やひび割れがそのままずっと放置されているようであれば、自治体の財政難による不十分な管理、あるいは交通量が過大であることなど、別の問題を内包している可能性も考えられますね。