注目される牛乳の主な成分……タンパク質
牛乳に含まれるタンパク質に、様々な機能性があることがわかってきました。
牛乳の主な成分は、水分、タンパク質、脂質、炭水化物、カルシウムや亜鉛、リンなどのミネラル、水溶性のビタミンB1・B2・B6、葉酸、脂溶性のビタミンA・D・Eなど、幅広い栄養素が含まれており、古くから完全栄養食品と言われています。
特に、牛乳は、体内で合成できない必須アミノ酸をバランスよく含む、良質のタンパク質源です。牛乳のタンパク質は、その約8割を占めるカゼインと、残りはホエーに大別されます。こうしたカゼインやホエーなどのタンパク質が消化されるなどのプロセスで生まれる成分の働きが、近年注目されています。
例えば、カゼインホスホペプチド(CPP)は、カゼインが消化されてできる物質で、小腸でのカルシウムや鉄分の吸収を助けます。ホエー中に含まれる乳塩基性たんぱく質「MBP(R)」も、骨をつくる骨芽細胞を増やして骨を壊す破骨細胞の働きを調節し、骨を健康な状態に維持する働きがあると考えられています。
ラクトフェリンは、免疫細胞を活性化する、アレルギー症状を緩和する、鉄分の吸収を促し貧血を予防改善する、内臓脂肪を減らすなどの作用が報告されています。また独立行政法人 放射線医学総合研究所では放射線防護効果の可能性があることを発表しています。
カゼインが消化酵素で分解されてできたオピオイドペプチドは、神経の興奮をしずめ、睡眠を促す作用があると言われています。さらに牛乳には、精神安定作用のあるセロトニンを作る材料となるトリプトファンが含まれていることからも、睡眠を促すと言われています。
ただしこれらの成分が、一般的な牛乳に含まれているのはごくわずかな量でしかありませんし、まだまだその作用や効果については今後の研究報告が期待される段階です。現在は、「骨密度が気になる人」にむけて個別の製品の安全性・有効性が評価された特定保健用食品などは販売されています。