自由が丘~二子玉川間にある
緑濃い高台の街

大井町線

駅によっては電車がホームからはみ出すこともある東急大井町線。どこかのんびりした雰囲気

京浜東北線大井町から東急田園都市線二子玉川を経て、同線溝の口をつなぐ東急大井町線。この路線が途中で自由が丘と交差、二子玉川までの間にあるのが九品仏、尾山台、等々力、上野毛(いずれも世田谷区)の4駅。このうち、九品仏、尾山台については過去に取り上げましたが、ここで取り上げるのは残りの等々力、上野毛。いずれも多摩川の河岸段丘上に駅があり、高台にはお屋敷の広がる住宅街です。

 

東急大井町線と他路線の位置関係は?
概念図

東急大井町線と他の東急沿線、幹線道路などの位置関係を概念的に図化。距離、位置などは正確ではない


 

東京唯一の渓谷に西側には
広い一戸建て中心の住宅街が

等々力駅

等々力駅。駅舎を出て線路を渡ると両側に同じくらいの幅の道路があり、店舗、飲食店が並ぶ


 
まずは等々力から見ていきましょう。率直なところ、初めて駅に降り立った人はちょっとびっくりするかもしれません。以前紹介した尾山台の駅もコンパクトでしたが、等々力はそれ以上。駅前というような場所がなく、線路を渡ると両側とも普通の、しかも細いといってもよい道路があるだけ。シンプルです。

 

等々力駅周辺

等々力駅前の商店街。スーパー、ドラッグストアに飲食店、線路沿いには玉川区民会館もある


 
駅を挟んで南北には商店街があり、スーパーも近くにあり、必要なものは揃いますが、充実しているというには、いささか気が引ける状況です。駅の東側を目黒通り、南側を環状八号線が走っており、足回りは便利ですが、繁華という単語には遠い、そんな印象があります。

 

等々力不動尊

等々力不動尊境内、矢沢川の崖(写真右手)には細い滝が残されている


 
この印象は駅からすぐのところにある等々力渓谷でさらに強まります。ご存じのように、ここは都内唯一の渓谷。世田谷区内上用賀6丁目、桜丘3丁目周辺に発し、多摩川にそそぐ矢沢川が河川争奪の末、台地を侵食して作ったもので、かつては地名の通り、轟音とどろく瀑布があったそうです。現在も等々力不動尊内には2条の滝があります。

 


等々力渓谷

住宅街から10mほども降りたところにある等々力渓谷。崖には武蔵野台地を形作った地層が露出している


 
渓谷として散策のメインになるのはゴルフ橋から1000mほど。渓谷内は都内とは思えないほど静かで、空気もひんやり。頭上を環状八号線が通っている場所もあり、高さ10mを隔て、別世界を楽しめます。

 

高台には古墳も点在、
古くから人が住んできた場所だった

建築協定エリア

中町1丁目の建築協定のあるエリア。高さや建物の色その他、住民間で取り決めがある


 
その渓谷の西側、渓谷からは階段を上った高台は広い一戸建て中心の住宅街。特に中町1丁目の一部は街並みを守るため、建築協定が結ばれており、各戸に緑が濃く、落ち着いたたたずまいが印象的です。

 

野毛大塚古墳

玉川野毛公園内にある野毛大塚古墳。この周辺には20基ほどの古墳が集まっている


 
渓谷を挟んだ高台は古墳の多い地でもあり、渓谷の西側、環状八号線沿いにある玉川野毛公園内には古墳時代中期(5世紀初頭)の全国でも最大級の帆立貝型古墳があり、東側には5世紀後半の御岳山古墳も。多摩川沿いにはいくつか河岸段丘上に古墳が集中する場所がありますが、ここもそのひとつ。古くからのお屋敷街(!)だったわけです。

 

安藤忠雄デザインで生まれ変わった上野毛駅
五島美術館周辺には広大な邸宅も

丸子川(次太夫堀)

環八から稲荷坂と呼ばれる急坂を下りてきたあたり。左手には国分寺崖線を利用した上野毛自然公園が作られている

渓谷西側の高台は多摩川に沿ってさらに西へ延び、野毛、上野毛、瀬田などに続きます。お隣の駅、上野毛の最寄りエリアです。上野毛では駅のすぐ北側を環状八号線が走っており、大きな住宅が多いのは、環状八号線を渡った辺りから南、多摩川の手前、丸子川(次太夫堀)までの間。丸子川に向かって坂を下りると、やや庶民的な雰囲気の街になっています。ここに限らず、この周囲には自転車では登りきれないほどの坂や階段もありますので、場所選びの際には注意してください。

 


五島美術館周辺

ひときわ緑の豊かな五島美術館周辺。現在は改装中で2012年秋にリニューアルオープンの予定


 
特にお屋敷が目立つのは五島美術館のある上野毛3丁目、隣接する2丁目あたり。巨木が多く残されてもおり、場所によっては二子玉川の再開発エリアを眼下に望む眺望が楽しめます。

 

上野毛駅

上野毛通りの両サイドに改札のある上野毛駅。細長い駅舎が個性的


 
上野毛駅は2011年3月に新しくなったばかりで、デザインは建築家の安藤忠雄さん。上野毛通りを挟んで細長い屋根で覆われた駅舎は、通り上に穿たれた大きな円によって光が採り入れられる個性的な形。バス停も5月以降で整備される予定です。

 

商店街

上野毛駅から伸びる商店街。スーパー、ドラッグストアに昭和の雰囲気の中華料理店などもある


 
商店街は駅から北側に伸び、通り沿いにはスーパーがあり、少し入ると豆腐屋さん、肉屋さんなどもある、気取らない雰囲気。お屋敷、高額マンションだけでなく、公的住宅や古いアパートなども残されているエリアだからでしょう、銭湯もありました。





さて、最後に気になる等々力、上野毛の住宅事情を見ていきましょう。