四万温泉の旅館
四万温泉を代表する宿の一つが、四万たむらです。1563年(永禄6年)以降に創業され、約450年の歴史を誇る老舗旅館です。今では全面的に近代的なビルに生まれ変わっており、古くて困る事は一切ありません。四万たむらは館内で湯めぐりができる程、浴場が多い事で知られ、宿自身も温泉三昧の宿と名乗っています。脱衣場の数で数えれば、館内に6つの浴場があり、姉妹館の四万グランドホテルの2つの浴場にも入れます。一泊では全ての風呂に入るのも大変な程ですが、温泉好きにはそれが嬉しいのです。もちろん、ただ風呂の数が多いだけでなく、源泉掛け流しです。
四万温泉を代表するもう一つの宿が、積善館です。元禄4年創業で、本館は創業時の建築がベースになっているとの事で、現役の温泉宿としては日本最古です。ただし、本館は流石に古いので、今は湯治宿としての営業になっています。
旅館としての積善館は、佳松亭積善と山荘。山荘は昭和11年建築で国の登録文化財に指定されています。昭和4年建築の元禄の湯も、国の登録文化財。浴室は傷みやすいので、文化財登録される歴史的な建築は稀であり非常に貴重で、温泉好きの間でも極めて有名な名物浴場になっています。
積善館といえば、千と千尋の神隠しのモデルの宿としても知られます。アニメに登場する湯屋「油屋」は、日本中の温泉建築を参考にした空想の産物ですが、細部まで詳細に描かれる宮崎アニメでは、自然とモデルが分かってしまうのです。積善館でも何箇所か似ているのですが、決定的なのは本館前の赤い橋です。また主人公が寝起きする部屋もそっくりなのだとか。モデルとなった部屋は一般には公開されてませんが、宿泊者向けに実施されている有料(といってもお茶代)のアニメツアーで見る事ができるようです。
四万温泉には他にも多数の宿がありますが、特に四万やまぐち館は評判が良い人気の宿です。
四万温泉の入浴施設
四万温泉には寸志で入れる共同浴場が4つもあります。代表的なのは、温泉発祥の地である日向見地区にあり、風情溢れる木造建築にリニューアルされた御夢想の湯です。駐車スペースもあるので、気軽に訪れる事ができますが、あくまで共同湯ですから、小さな湯舟が一つあるだけです。泉質的には、河原の湯がおすすめ。鉄分が多い湯は、名湯が多い四万温泉の中でも抜群です。山口地区には、唯一の露天風呂の共同湯がありますが、混浴なので女性には難しいかもしれません。
他に公共の日帰り温泉施設として、温泉街入口に四万清流の湯、温泉街奥の奥四万ダムにこしきの湯がありますが、四万清流の湯は循環も併用されているので温泉好きにはおすすめできません。掛け流しの温泉宿が多数あるのですから、宿が日帰りを受け付けている時間帯であれば、そちらがおすすめです。
最後に、四万温泉の観光スポットをご紹介します。