EDの予兆と予防

EDの予防あるいは回復はSEXだけの問題ではありません。より健康に、より満足できる人生への努力です。

ある大学の糖尿病センターでのことです。自己管理プログラムに出席した2人の男性が隣り合わせに座っていました。一人は1型糖尿病と診断されたばかりの22歳の若者。彼は「糖尿病はEDになるので、かわいそうに子どもは出来ないだろう」という陰口を聞いてパニックになっていました。彼は新婚ほやほやだったのです。

もう一人の中年男性は55歳で、1型糖尿病歴がもう35年になっていました。幸いなことに、その人は8人の子どもに恵まれ、まもなく7人目の孫が生れるところでした。2人の会話から、若者の顔が見る見る内に明るくなっていく様が目に浮ぶようです。アメリカのジョンズ・ホプキンス大学で本当にあった話。

糖尿病とEDの関係

「糖尿病だから、いずれEDになる!」と信念のように強く思いこんだ男性と会ったことがあります。まるで強迫観念ですが、心の内でなんとなく不安を抱えている人は少なくないのでしょう。

いったい、どのくらいの割合で糖尿病患者がEDになるかと言うと、海外論文によって20~71%と大きな幅があります。そして、残念ながらその多くが1型、2型の区分をしていません。EDにも軽症(通常はエレクト可能)から、中等症ED(ときどき十分なエレクトを得られず、持続もできないことがある)、完全型ED(セックス不可能)とレベルがあり、その判定も一定せず、研究のほとんどが治療記録からの分析ですから、実態とはかけ離れていると思われます。

香港で行われた研究(1999年)は、単一のクリニックで500人(2型が97%)の糖尿病患者を対象にしたもので、それによると63.6%にEDの症状が見られました。同じ頃イタリアで行われた114のクリニック、112の開業医におけるランダムな1,460人の2型糖尿病者の無記名自己申告調査では、24%が中等症ED、34%がたびたびEDに悩まされると答えています。つまり、58%です。

現在では糖尿病者の2人に1人は人生のある時点でEDを経験すると見られています。

EDの疫学調査としてよく引用されるMMAS(アメリカのマサチューセッツ州、ボストン近郊の40~70歳の男性1,709人をランダムに選び、加齢に伴う質問票を郵送、訪問調査した正確な統計調査)では、どの年齢層でも糖尿病があると重いEDの可能性が3倍も高くなることが分かりました。

糖尿病は全身の血管と神経が傷つく病気で、まさしくEDも肉体的には血管と神経の不調によるものですから関連があるのはやむを得ません。

EDになる予兆は?

上記のMMAS(The Massachusetts Male Aging Study)で明らかになったEDと密接な関連があるものは、過度のアルコール、血糖コントロールのレベル、間欠性跛行、網膜症、神経障害でした。アルコールを除けば糖尿病の合併症そのものですね。EDというのは病気ではなく、原因が別にあって表れる「症状」であることがよく分かります。

EDは心因性のものもありますし、心臓病や脂質異常症、高血圧などの病気も問題になります。これらも循環器病ですから当然です。

タバコも血流を悪くするのはよく知られています。欧米ではタバコの箱にいろいろな警告がでていますが、ガンや心臓の話よりも「EDへの近道」と書くべしという意見がありましたが、どうなったのでしょうか。

男性なら身に覚えがあるモーニングエレクトもEDに関係します。モーニングエレクトがあるのに、いざという時に「役に立たない」のは恐らく心因性のEDです。

就寝中のレム睡眠の時にエレクトするのは、ペニスに酸素や栄養素を送り込むメンテナンス作業だそうです。モーニングエレクトも同じもので、平均一晩に4回はあるはずです。EDが気になったら、ペニスに切手の帯をぐるりと貼り付けて寝る方法はご存知ですね? 切手のミシン目が切れていれば一安心です。

最近は血糖値も良好だけど、長い間血糖コントロールが悪くて、数年前から両足に神経障害の症状が出たり消えたりしている……。モーニングエレクトが弱くなったのも気づいた。オルガスムはあるけど、何だか精液の量が減ってしまったようだ……。セックスの関心も弱くなったし……。

そんな場合は担当医に相談し、適切な医療機関を紹介してもらいましょう。

糖尿病でもEDを予防したい!

なによりも血糖コントロールを良好に保つことです。コントロールの悪い男性は優等生に比べると2~4倍もEDになりやすいのです。

1型糖尿病でもそのことは証明されていますし、2型でもA1Cを6.5%以下にして血圧を正常に近づけることでセックス機能を改善できたという論文があります。

年齢はEDの大きな要因ですが、これはどうにもなりません。太っていれば減量もED対策です。禁煙・節度あるアルコールは当たり前。健常者での研究ですが、体の活動量を増やすことがEDのリスクを減らすことになりました。

糖尿病治療はパートナーの存在がとても大きいものです。しかし、EDはパートナーとの間に溝を作ってしまうこともあるでしょう。早目に行動すること。いろいろな治療法がありますよ。

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