緑茶は烏龍茶、健康との関連は?

烏龍茶と糖尿病

健康にいいイメージのある烏龍茶。本当に糖尿病発症リスクとの関係はあるのでしょうか?

「緑茶や烏龍茶はからだにいい」と感じている人は多いのではないでしょうか。そんな常識をくつがえす、驚きのニュースが公表されました。それは、烏龍茶を毎日2~3杯長期間飲んだ人の糖尿病発症リスクが高くなった、という研究結果です。

烏龍茶で糖尿病の発症リスクが高まる?

最初に断っておきますが、この研究は「烏龍茶を何年間も毎日たくさん飲むと糖尿病になる」という、原因と結果を示すものではありません。
糖質制限に効果的、血糖値を下げると言われている烏龍茶を毎日2~3杯飲み続けたら、さぞ2型糖尿病予防になると思いきや、逆にそれが糖尿病発症を予測させる予知因子のような結果が出たということです。

研究を行ったのは京都大学医学研究科の林野泰明准教授らのグループで、生活習慣病の予防を目的とした介入の効果を、職域コホートで検討するHIPOP-OHP研究の一つとして、今回の内容が発表されました。
[Diabetic Medicine 28.805-810(2011)]

研究内容の概略は以下の通りです。
  • 研究に参加する企業12社から、男性の事業所勤務者4975人を集める(平均年齢38.3歳、BMI 22.9kg/m2の若くて健康な勤務者)
  • 上記勤務者に対して、飲食習慣の質問表、身体測定、エネルギー消費量などの評価を、3~4年にわたる追跡期間を設けて継続
  • 評価の結果、うち201人が2型糖尿病になっていた(※糖尿病の判定は、空腹時血糖値126mg/dl以上、または随時血糖値200mg/dl以上、あるいは糖尿病薬を使用中の人とした)
さらに参加者全員を、
  • 烏龍茶を飲まない人
  • 一日一杯飲む人
  • 一日2杯以上飲む人
の3群に分けたところ、烏龍茶をたくさん飲む人ほど早朝空腹時血糖値上昇が大きくなる結果が出たのです。

そして、2型糖尿病発症の相対危険度(Relative Risk)は、「一日1杯飲む人」の群を1とすると、「一日2杯以上飲む人」の群は1.64となり、前者に比べて64%も糖尿病のリスクが高いという数値となったのです。ちなみに、「烏龍茶を飲まない人」の群と「一日1杯飲む人」の群には目立った差はありませんでした。

注)2型糖尿病は一つの因子で決まるものでなく、複数の因子が関与しています。そのため、この研究ではコックス比例ハザードモデルで調整してあります。

全世界に2億8000万人以上の糖尿病患者がいる今日、水に次いで最も多く飲まれるお茶(緑茶、烏龍茶、紅茶)に血糖降下作用があれば願ったりかなったりです。これまでにも、お茶が糖尿病に及ぼす影響についての論争は数多くありました。そのいくつかも併せて紹介いたしましょう。

サントリー基礎研究所の細田和昭氏らが「烏龍茶は血糖値を下げるという」論文を、アメリカ糖尿病協会の「Diabetes Care 26.June,2003」に発表しました。この研究は、経口薬を飲んでいても早朝空腹時血糖値が229±53.9mg/dlという非常にコントロールの悪い台湾人20人に、薬湯のような濃い烏龍茶を1日1.5lも飲ませたもので、なんとなく現実離れしています。ちなみにこの研究では、対照群の「水」を飲んだグループに対し、空腹時血糖値もフルクトサミン値も改善したという結果が出ていました。

また2006年には、日本人17,413人の研究から緑茶が糖尿病リスクを下げるという発表がありましたが、この研究では烏龍茶や紅茶にはその効果がありません、という内容でした。
さらに今年の欧州臨床栄養学誌(2011)65.87-93に、非糖尿病の成人では烏龍茶は糖代謝を改善しないという論文が載りました。つまり、たいした関係はないという判断です。

このように、数多い欧米の論文でも、「お茶は糖尿病にいい!」というものと、「逆に悪い!」というものが存在しています。お茶の薬用成分は主にカフェインとポリフェノール類ですが、その成分の割合と含有量は無数にあるお茶の種類、製法によって千差万別です。食習慣がまちまちで、茶葉が違って水質もいろいろ、その上淹(い)れ方が異なるのですから、お茶と糖尿病の相関関係は簡単には定まりようがありません。

お茶の血糖値に及ぼす影響は、少人数短期間の論文が多いのですが、今回のHIPOP-OHP研究はハイリスクアプローチとポピュレーションアプローチの両方を組み合わせた、とてもしっかりしたものです。「烏龍茶は糖尿病予防にいい」と思ってたくさん飲んでいた人はちょっと考え直してもいいかも知れませんね。

コーヒーも糖尿病を悪化させる?

「コーヒー愛好者には2型糖尿病が少ない」と考えられていましたが、コーヒーに含まれるカフェインが糖尿病を悪くするという研究結果が発表になりました。研究を行ったのはデューク大学医療センター(ノースカロライナ、アメリカ)の研究者たちです。これは「コーヒーが糖尿病を予防する」という説と食い違うように思えますが、「予防」と「治療」の心得は必ずしも同じではありません。

糖尿病予防にはウエイト・ロスが大切なので、低脂肪、炭水化物食が合います。しかし、糖尿病患者は食後の高血糖(ブドウ糖)を防ぐために食事の炭水化物(ブドウ糖)の量を抑えなくてはいけないのです。

これをコーヒーに当てはめると、疫学的にはコーヒーは糖尿病予防には効果的ですが、糖尿病患者にはコーヒーをガブガブ飲むのはよくないこと、と覚えておきましょう。

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