高血糖を始めとする糖尿病の諸症状は、全身の血管と神経を傷めてしまいます。血管と神経が傷むとED(勃起不全)になりやすくなります。ですから糖尿病者のEDは加齢と年数、重症度によって多くなります。今回は、EDが前兆になる重たい症状について、ご紹介しましょう。

セックスのトラブルは心臓の警報?

<br>悩み
糖尿病者には色々な悩みがあるものです
5月21日(2008)のBBCニュースで「セックスのトラブルは心臓の警報かも……」という情報が取り上げられていました。

それによると糖尿病の男性がエレクトを保持できなくなるのは、深刻な心臓病の前兆かも知れないのです。糖尿病が同じようにある男性でも、糖尿病かつEDの男性はそうでない男性に比べて2倍も心臓病になるようだという発表がありました。

この話題は以前からありましたが、今回の研究は私達日本人とよく似た体質の香港の中国人を対象にしたものですから詳しく紹介しましょう。

糖尿病のある男性2,306人を4年間にわたって追跡したところ、EDのある人は1.58倍も心臓病(死亡、生存を含む心臓発作や心臓手術)が多かったのです。[J Am Coll Cardiol 2008;51:2045-2050]

いろいろな研究で、すでにEDが動脈硬化症と関係が深いことは知られていました。他の研究ではEDが心臓冠動脈疾患や末梢血管、脳血管障害の予兆になりそうなことも知られていました。そこで研究者たちは直接にEDと糖尿病と心臓病の関連を前向きコホート研究で調べることにしたのです。

香港のプリンス・オブ・ウエールズ病院の糖尿病センター外来の3,640人の男性をリクルートして、1型糖尿病と心臓病の既往症の人を除きました。残りの2,306人が腎臓検査なども定期的に受けながら観察されました。

香港市民は独自の個人識別ナンバーを与えられているので、被験者の心臓病治療とEDのデータを分析することが可能なのです。

EDは動脈硬化だけでなく、年齢やいろいろな薬、糖尿病罹病年数、腎機能、喫煙、心理的なものまで幅広く影響を受けます。それらの要因を考慮しても「2型糖尿病者のEDは将来の心臓病の代理マーカーになる」と研究者は結論づけています。

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