宅地建物取引業法詳説〔売買編〕の第28回は、第46条(報酬)(一般にいう「媒介手数料」「仲介手数料」のこと)についてみていくことにしましょう。

 (報酬)
第46条  宅地建物取引業者が宅地又は建物の売買、交換又は貸借の代理又は媒介に関して受けることのできる報酬の額は、国土交通大臣の定めるところによる。
 宅地建物取引業者は、前項の額をこえて報酬を受けてはならない。
 国土交通大臣は、第一項の報酬の額を定めたときは、これを告示しなければならない。
 宅地建物取引業者は、その事務所ごとに、公衆の見やすい場所に、第一項の規定により国土交通大臣が定めた報酬の額を掲示しなければならない。

法律の規定は簡素

不動産売買の契約をするときには誰でも気になる報酬(媒介手数料)の金額ですが、宅地建物取引業法では上記のようにシンプルな定めがあるだけです。

具体的な金額の基準については国土交通大臣の告示によって定められています。さらに、報酬受領の可否など運用上の細かい部分については通達などによるほか、何らかの紛争を伴う場合の報酬は判例による部分も多く、法律が簡素な代わりに一般には分かりづらい面も少なくありません。

報酬の額を告示によって定めているのですから、法律の改正よりも簡単な手続きで見直しができそうなものですが、その内容自体は昭和45年以来、40年あまりの間にほとんど変わっていません。消費税の導入や変更などに関連して平成元年、9年、16年にそれぞれ小幅な改定がされているのみです。

報酬の額=上限額

法律の条文の中では「報酬の額」という表記が3回も使われていますが、これらは第2項に定めがあるとおり、いずれも「報酬の上限額」です。そのため、売買契約の成立によって「法律で決められた額ですから」と上限額いっぱいの報酬を請求する宅地建物取引業者がいれば、それは不適切な説明方法だと言えます。

決して安くはない金額の報酬を支払うのですから、それに見合う精一杯の仕事をしてもらうように、宅地建物取引業者やその担当者に要求をしても構いません。業者側の業務遂行にあたり何らかの落ち度や手抜きがあれば、報酬の減額を求めても良いでしょう。

気持ち良く報酬を支払えるような誠実で信頼できる担当者にめぐり会いたいものですが…。

上限額は「3.15%+63,000円」

国土交通大臣の告示による報酬の上限額は、一般に「3%+6万円」として知られていますが、消費税の総額表示に伴う改正により現在は「3.15%+63,000円」となっています。

しかし、これはあくまでも売買価格が400万円を超える場合に使える速算法であり、告示による内容は次のようになっています。

 200万円以下の金額
5.25
 200万円を超え400万円以下の金額
4.20
 400万円を超える金額
3.15

たとえば、3,000万円(消費税抜き本体価格)の不動産を契約したときの報酬の上限額は次のように計算できます。

 200万円以下の部分   200万円×5.25%=105,000円 
 200万円を超え400万円以下の部分    200万円×4.20%= 84,000円 
 400万円を超える部分  2,600万円×3.15%=819,000円 

この3つの数字の合計額である1,008,000円と、〔3,000万円×3.15%+63,000円〕の速算法で計算した額とが同一になるわけです。

なお、報酬上限額の計算のもととなる売買金額には消費税を含みません。新築住宅など消費税が課税されている物件の場合には、消費税額を差し引いた本体価格によって計算をすることになります。

代理の場合の報酬は?

3.15%+63,000円」で計算される報酬の上限額は、媒介による契約成立の場合に売主および買主の一方から受け取ることのできる額です。

それに対して宅地建物取引業者が代理(売主の販売代理など)の場合には、その2倍相当額である「6.30%+126,000円」までを依頼者側から受け取ることができます。ただし、その場合でも売主と買主の報酬の合計額は「6.30%+126,000円」を超えることはできません。

つまり、契約の相手先が売主の代理業者で、その業者が売主から「6.30%+126,000円」の報酬を受け取るのであれば、買主は報酬を1円も支払わなくて良いことになります。しかし、そうでない場合には差額分の範囲内で報酬を請求されるケースもあり、必ずしも「契約相手が代理業者=手数料不要」というわけではないので注意が必要です。

報酬以外の費用は?

第46条では報酬について定めているだけですが、これ以外の費用については告示の中で受領を禁止しています。ただし、依頼者から頼まれて行なう特別な広告の費用については、その受領が認められています。売主がこれに該当するケースはあるでしょうが、買主がこれを負担することはほとんど考えられません。

また、依頼者が特別に頼んだ遠隔地の物件の現地調査費用など、特別な支出を要するもので事前に依頼者の承諾を得ている場合についても、報酬とは別途に金銭の受領が認められています。遠隔地の物件の売却や購入の調査を依頼したときには、売主も買主もこれに該当するケースはあるでしょう。

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