お金の勉強にお金を使い、結局お金が減ってしまうだけの人
投資教育には賛成ですが、お金の勉強にお金を使い、結局お金が減ってしまうだけの人も散見されます。なぜそういうことが起こるかというと、ひとつの理由は、残念ながら教える人たちのなかには「投資や運用で利益を出す技術を持っていない人」もいるからです。評論家は講演や文章で儲けている
特に評論家は風見鶏になりがちです。不況なら節約、好況なら投資をしようと言います。新興国が伸びていると聞けば新興国をすすめ、長期分散投資が流行すると、やはり長期分散投資と言います。これはある意味やむを得ないことです。なぜなら、その人自身に「投資ポリシー」が形成されていない場合があるからです。投資ポリシーとは、実際のトレードの中で、成功や失敗が積み重なってできるものです。投資経験(投資密度)の浅い人の発言は、どうしても軸がブレてしまいやすいのです。
世の中には、本の印税や原稿料、テレビ出演料に講演料、証券会社からのキックバックや紹介手数料など、リアルな運用以外で収入を得ている「なんちゃってアドバイザー」も多いですから、誰の意見を取り入れるか、注意が必要です。
情報発信者の利益の源泉を知り、なるべくならリアルに運用で儲かっている人から学ぶようにしたいものです。
本を一冊読んだら即実践
もうひとつの理由は、勉強に時間とお金を投下しすぎて、経験が追いつかないことにもあります。副業としての投資は、必要以上に時間とお金をかけて勉強し、知識を得るようなものではありません。何事も、実践とのバランスが大切です。何十万円もかけて投資スクールに通ったとしても、儲かるのはスクール運営会社です。本を読んでたくさんの知識をインプットしても、「畳の上の水練」のようなもので、儲かるのはやはり著者と出版社です。インプットで投資力が上がるわけではありませんから、アウトプットに反映させなければ、時間もお金も無駄になる可能性があります。
投資全般に言えることですが、トレードのルールさえわかれば、あとはスポーツと一緒で、早期にマーケットに参戦し、実戦を通じて腕を磨くのが一番近道です。また最近は、多くの証券会社がオンラインセミナーなどを開催し、情報提供に努めていますから、ことさら情報収集にお金を使う必然性も低くなっています。
勉強にそこまでお金をかけられるなら、そのお金を授業料として実際のトレード資金にまわしたほうがよいのではないでしょうか。あるいは不動産投資や商品先物取引のように、優秀なアドバイザーと組むと効率的ですから、彼らへの手数料に回したほうがよいとも感じます。
経験してから関連書を読むと、スムーズにノウハウを取り込める
そして、ある程度の経験をしたのちに、関連の雑誌や書籍を読み、経済の読み方、最新のトレード環境、他人のトレード手法やメンタルの保ち方などを参考にすると、自分の投資ポリシー確立に役立ちます。また、新しい手法、新しいトレードツールなどが次々に開発されていますし、投資家によって様々な考え方がありますから、「イマイチうまくいかないな」と感じたときに、自分のトレードスタイルを見直すのに役立ちます。
これは私の個人的な感覚に過ぎませんので根拠はないですが、学習にかける資金・時間と、実践にかける資金・時間の黄金率は、「500:1」と捉えています。学習で1万円を使ったら、500万円を回収する。1時間勉強したら、その500倍の500時間を実践に充てる、ということです。