不動産売買の法律・制度/キーワードでみる土地・住宅選びのポイント

傾いた電柱

一般の住宅地でも、よく見ると傾いた電柱が立っていることが少なくありません。地盤が弱いのか、それとも別の原因なのか…。そのような場所の土地や住宅を選ぶときには、いったいどうすれば良いのでしょうか?

執筆者:平野 雅之


街の様子を注意深く観察しながら歩いていると、傾いた電柱に気付くことがあります。大きく傾いた電柱はあまりないものの、少し傾いた程度の電柱は普通の住宅街でも比較的多く見られることでしょう。

傾いた電柱

都市河川の脇に立つ電柱


周囲を見渡したときに傾いている電柱が1本だけであれば、地盤についてそれほど心配する必要はありません。施工上の不具合が原因となっている場合や、立てられた後に車両が接触するなどの影響で傾いている場合も考えられます。

傾いた電柱

家の前の電柱が傾いていると心配だが…


長年にわたり一つの方向だけに引っ張る力が掛かり続けたことで傾きが生じたのだろうと推察される電柱もあります。また、裏付けとなるデータはありませんが、これまでの経験では坂道の途中に立っている電柱において傾きの生じているケースが多いように感じられます。中には、あまりにも家屋へ接近した位置に立てられているため、影響を避けるためにわざと傾けているのだろうと思われるものも…。

傾いた電柱

坂の途中、かつ、不規則な力が掛かっている電柱


しかし、比較的平坦な土地でありながら、周囲に傾いた電柱が何本もあるようなところは要注意。その地域の地盤が弱いために電柱が傾いている可能性が考えられるのです。軟弱地盤の危険性が広く知られている地域では、大半の電柱が傾いているようなケースもあります。しかし、そのような地域ではなく、あまり注意喚起がされていないところでも、よく見ると傾いた電柱がいくつも目につくことがあるのです。

傾いた電柱

数本の電柱が同じ方向に傾いている(ちなみに前の道路は「水道道」)

傾いた電柱

手前の電柱と奥の電柱が逆方向に傾いている

傾いた電柱

地盤が良いと思われがちな山間部の住宅地でも同じ


もちろん「電柱が傾いている」という現象だけを見て、その場所の「地盤が弱い」と断定することはできません。しかし、電柱の傾きが見られる土地について実際に調べてみると、河川が比較的近かったり、旧河川敷にできた住宅地だったり、もともとは水路だったり、あるいは低湿地を埋め立てた土地だったり、周囲より低く水が集まりやすい土地だったりと、軟弱な地盤であることが推定されるケースも少なくないのです。

傾いた電柱

奥の電柱を見通してみれば傾きがよく分かるケースも

傾いた電柱

垂直に立っている構造物があると、電柱の傾きが分かりやすい


周囲に傾いた電柱が目立つときは、地盤調査をより入念にやってもらい、地盤の強度に見合った基礎などの対策を講じてもらうようにするべきです。中古住宅であれば、購入を決める前に専門家のチェックを受けることも考えたほうが良いでしょう。

傾いた電柱

電柱が傾いているからといって慌てて逃げる必要はない


地盤の調査によって、とくに問題がないと判断されるケースも考えられます。電柱の傾きだけで購入の可否を検討するのではなく、さまざまな調査結果を突き合わせ、総合的に判断をすることが必要です。

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