街の様子を注意深く観察しながら歩いていると、傾いた電柱に気付くことがあります。大きく傾いた電柱はあまりないものの、少し傾いた程度の電柱は普通の住宅街でも比較的多く見られることでしょう。
周囲を見渡したときに傾いている電柱が1本だけであれば、地盤についてそれほど心配する必要はありません。施工上の不具合が原因となっている場合や、立てられた後に車両が接触するなどの影響で傾いている場合も考えられます。
長年にわたり一つの方向だけに引っ張る力が掛かり続けたことで傾きが生じたのだろうと推察される電柱もあります。また、裏付けとなるデータはありませんが、これまでの経験では坂道の途中に立っている電柱において傾きの生じているケースが多いように感じられます。中には、あまりにも家屋へ接近した位置に立てられているため、影響を避けるためにわざと傾けているのだろうと思われるものも…。
しかし、比較的平坦な土地でありながら、周囲に傾いた電柱が何本もあるようなところは要注意。その地域の地盤が弱いために電柱が傾いている可能性が考えられるのです。軟弱地盤の危険性が広く知られている地域では、大半の電柱が傾いているようなケースもあります。しかし、そのような地域ではなく、あまり注意喚起がされていないところでも、よく見ると傾いた電柱がいくつも目につくことがあるのです。
もちろん「電柱が傾いている」という現象だけを見て、その場所の「地盤が弱い」と断定することはできません。しかし、電柱の傾きが見られる土地について実際に調べてみると、河川が比較的近かったり、旧河川敷にできた住宅地だったり、もともとは水路だったり、あるいは低湿地を埋め立てた土地だったり、周囲より低く水が集まりやすい土地だったりと、軟弱な地盤であることが推定されるケースも少なくないのです。
周囲に傾いた電柱が目立つときは、地盤調査をより入念にやってもらい、地盤の強度に見合った基礎などの対策を講じてもらうようにするべきです。中古住宅であれば、購入を決める前に専門家のチェックを受けることも考えたほうが良いでしょう。
地盤の調査によって、とくに問題がないと判断されるケースも考えられます。電柱の傾きだけで購入の可否を検討するのではなく、さまざまな調査結果を突き合わせ、総合的に判断をすることが必要です。