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ゲーム業界のオンラインサービス拡大とリスクを考える(2ページ目)

PlayStation Networkを中心とした、ソニーのオンラインサービスにおける個人情報の流出が1億件を超え、大きな問題になっています。これは、ソニーだけの問題ではなく、ネットワークサービスにおけるビジネスを拡大させつつあるゲーム業界全体で考えていかなければいけない問題です。

田下 広夢

執筆者:田下 広夢

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ソニーの責任は重いが、同時に被害者でもある

記者会見の図

ソニーは2011年5月1日に記者会見を開き、平井 一夫副社長が状況を説明しました。

この事件に関して、ソニーの責任は非常に重く、ユーザーとの信頼関係が大きく損なわれたことは言うまでもありません。特に不法侵入を許す根本的な原因の1つとして、アプリケーションサーバーにおける既知の脆弱性を突かれた、ということが問題になっています。

簡単にいえば、既に知られている、不正に利用できてしまうようなプログラム上の穴があったにも関わらず、対処していなかったために侵入を許してしまった、ということです。既知の脆弱性というのは、必ずしも分かっているからと言って全て対応できるとは限らないのですが、今回に関しては、ソニー側が認識不足を記者会見で認めています。

ただし、今回の件はソニーも被害者であるという側面も忘れてはいけません。それはつまり、加害者がいるということです。もし、より厳重にデータを管理していたとしても、相手がそれを上回る技術で侵入されるかもしれないと考えれば、絶対の安全とは言えません。

任天堂も、マイクロソフトも、無関係ではない

3DSの図

3DSのオンラインサービスは6月7日にはじまる予定です。

整理すると、1つはゲーム業界はパッケージビジネスの問題点を解決するべく、オンラインサービスを拡大させている最中であるということ。もう1つは、システムに故意に侵入してセキュリティを突破した加害者がいたということ。最後に、その結果、ソニーは被害者であったとしても管理責任の追求は免れず、ユーザーの信頼を大きく失ってしまったということ。

この3つの流れは、ゲーム業界のオンラインビジネスのリスクを浮き彫りにしています。サービスが巨大になればなるほど、扱う情報のリスクは高まり、長い間培ってきた信用を一夜のうちに失うような事態を常に警戒しなければいけなくなります。

そして当然、2011年6月7日からニンテンドー3DS向けのオンラインサービス、ニンテンドーeショップを始める任天堂、Xbox Liveで世界中のコアユーザーの会員を集めているマイクロソフトといった、他のプラットフォームホルダーも無関係ではありません。

ゲーム業界は、オンラインビジネスを拡大させていく流れの中で、情報の安全性についてどうやってユーザーと信頼関係を結んでいくかについて、もう1度考え直す時期に来ているのかもしれません。
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