サンルームをリビングにつなげて設置。リフォームで取り入れるケースも
一般的にサンルームとは、屋根や壁、扉などをガラス張りにして、自然の光を多く取り入れることができるようにした部屋のこと。そのスタイルやプランはさまざまですが、主に建物本体の部屋すべて、もしくは一部をサンルームにする場合と、リビングやユーティリティなどに隣接させ外部に設ける場合があります。欧米の住宅では、建物本体の一部をサンルームとする例もみられますが、日本の住宅で多いプランニングは、リビングなどにつなげて設置するスタイルでしょう。建物に合わせ造作で施工することもありますが、一般的なのは、エクステリアメーカーのサンルームなどの商品を取り入れるプラン。新築時に取り入れるよりも、暮らし始めてから設置するケースが多くみられます。メーカーからも豊富な商品ラインアップが揃い、さまざまなプランニングが可能でしょう。
くつろぎの場として、快適さを重視したプラン。ウッドデッキに、折りたたみの扉を設けて開放的に。 [サンフィール3 テラス囲い 木調ガーデンルームタイプ リウッドデッキ納まり フラット型 屋根ふき材:ポリカ (トーメイマット) (開) H2 AR] YKK AP
■サンルームのメリットデメリット
■サンルームのプランニングのポイント
・Point1 サンルームを快適空間とするか家事空間とするか、目的を明確にする
・Point2 サンルームと建物本体とのつながり、配置や動線を考慮する
・Point3 サンルームと庭とのつながり、使い勝手にも配慮する
・Point4 サンルーム内のプライバシー確保にも注意を
・Point5 サンルームの使用目的に合わせた広さを確保する
・Point6 サンルームの開口部プランは使い勝手や快適性に影響する
・Point7 サンルームの使い方に合わせた床材や屋根材を選ぶ
・Point8 サンルームは2階ベランダやバルコニーをサンルームとする方法も
・Point9 サンルームはショールームや施工例などで確認する
サンルームのメリットデメリット
どんなプランニングにするか、目的や形状によっても異なりますが、一般的にサンルームを取り入れるメリットは、太陽光を取り入れることができるので、明るい空間が生まれること、部屋に広がりが生まれること、雨や花粉を気にせずに洗濯物を干すことができること、子供の遊び場、ペットの居場所としても使い勝手がいいことなど。デメリットとしては、仕様にもよりますが、夏場の暑さ、冬の寒さなどが挙げられるでしょう。日差しをコントロールするカーテンやスクリーンを取り入れて居心地のよさをアップ。 [サンフィール3 テラス囲い スタンダードタイプ リウッドデッキ納まり フラット型 屋根ふき材:ポリカ (トーメイマット) 天井カーテン+ロールスクリーン H2] YKK AP
サンルームのプランニングのポイント
サンルームをプランニングする際には、以下に挙げるように、設ける目的や建物本体との動線、広さや開口部のつくりなど、さまざまな角度から考えることが大切です。敷地条件やライフスタイル、予算に合わせ、優先順位を明確にした上で検討するようにしましょう。サンルームを快適空間とするか家事空間とするか、目的を明確にする
建物本体に設置する、エクステリアメーカーのサンルームなどの外部空間商品は、大きくふたつのタイプに分けることができます。ひとつは、居室のように用いることを前提とした、いわゆるサンルーム商品で、居心地の良さを追求したタイプ。もうひとつは、洗濯物や布団を干したりアウトドア用品を置くなど家事効率を高める空間としたタイプです。サンルームよりも比較的、簡易な構造のものであるテラス囲いなどは、家事スペースとして利用されるケースが多いでしょう。
居心地の良さを追求したタイプは、居室のようなくつろぎを生み出すために、開口部の工夫や用いる素材、デザインなどにこだわったものが多くみられ、インテリアや外観デザインに合わせて選ぶことも可能。家事効率を優先させたものは、洗濯物が干しやすい工夫が優先され、床材や棚など日用品の収納などにも配慮したものがみられます。
プランニングの際には、まず、どのような目的で設置するのか、希望する使い方、そこでの時間の過ごし方などを明確にすること。その上で適するプラン、適する商品を検討することが大切でしょう。
オープンに開放することができるタイプであれば、庭との一体感も生まれる。[EXSIOR ジーマ] LIXIL
サンルームと建物本体とのつながり、配置や動線を考慮する
居心地の良い空間をつくるにしろ、家事効率を高めるための空間を設けるにしろ、プランニングする際に注意したいのは、目的に合わせた配置や動線。庭の広さやプランなどにもよりますが、建物本体のどこにつなげて設置するか、室内との行き来のしやすさを充分に検討することが大切です。施工例として多くみられるのは、リビングやダイニングの掃き出し窓につなげるプラン。くつろぎの空間スペースを広げ、光をとり込むことができるのが特徴です。お茶を飲んだり、食事をするスペースとするなら、キッチンからの動線も意識することがポイントでしょう。
洗濯物を干すことが主な目的であれば、洗濯機の近くに配置するか、洗濯後、畳むことや収納することを考慮して、寝室やクロゼットの近くに設けるプランも。もちろん、日当りや風通しなども確認することも大切です。
サンルームと庭とのつながり、使い勝手にも配慮する
屋内と屋外をつなぐスペースであるサンルームは、室内からだけでなく、屋外空間、庭とのつながりにも配慮することも必要です。たとえば、門から庭を通ってサンルームに直接行くことができれば、近隣の方とのコミュニケーションの場となるかもしれません。子供が友達を連れて来たり、サンルームでガーデニングを楽しむ際にも、行き来しやすい方が使い勝手もいいでしょう。屋内外、どちらからも使いやすい動線を考えておくことが大切です。
くつろいだり、食事をしたり、さまざまな用途に利用するのであれば、スペースも広めに確保したい。[サンフィール3 テラス囲い 木調ガーデンルームタイプ リウッドデッキ納まり フラット型 部分囲い リウッドFF色 H2 Z9] YKK AP
サンルーム内のプライバシーの確保にも注意を
開放的な空間を実現するために設けたサンルームでも、プランによっては、プライバシーが確保されず、落ち着かない場合も。たとえば、庭いっぱいに設けることで、隣家や道行く人の視線が気になるケースもあるでしょう。どのように配置するかは充分に検討するようにしましょう。また、透明性の高い屋根材を用いた場合は、上からの視線が気になるケースも。集合住宅に囲まれている敷地の場合などは、横だけでなく上からのプライバシーにも配慮することも重要なポイントです。
サンルームの使用目的に合わせた広さを確保する
どの程度の広さを確保すればいいのかは、使い方や敷地条件によって異なります。たとえば、くつろぎのスペースとするのであれば、希望するテーブルや椅子などを置くことができるスペースは必要でしょう。家具を置いても、動線を妨げないゆとりを確保しておきたいものです。洗濯物や家事作業場などとして利用するのであれば、洗濯物の量や頻度などを考慮して。家事に必要なアイテムを収納することができるスペースを確保しておくことも大切でしょう。メーカーや商品にもよりますが、間口が1.5~3間(2730~5460ミリ)程度、出幅が6~10尺(1800~3000ミリ)程度のサイズバリエーションがあるので、目的に合わせた広さをプランニングするようにしましょう。
床材も含め、ホワイトでまとめ、外観デザインとコーディネート。[EXSIOR 暖蘭物語 基本タイプ スタイルA フルガラス仕様] LIXIL
サンルームの開口部プランは使い勝手や快適性に影響する
扉(戸)など、開口部のプランニングによっても、使い勝手は大きく変わります。折戸などですべてが開くタイプであれば、庭と一体化するオープンな使い方ができるでしょう。落ち着きのある居室スペースとしての機能を優先させたり、洗濯物干し場とするのであれば、腰壁を設けたり、出入口のみ開閉するようなスタイルも考えられます。扉の下段を目隠し効果もあるパネルタイプを選んでもいいでしょう。いずれにしても、扉を検討する際は、屋内と屋外の行き来の仕方、動線を考慮することが大切です。サンルームの使い方に合わせた床材や屋根材を選ぶ
商品によっても異なりますが、サンルームの床材や屋根材には、いくつかの素材が設定されています。居心地や使い勝手にも関わるので、目的に適した素材を選ぶこと。たとえば、床は、デッキやフローリング、土間テラス(タイルなど)などから選ぶことが可能。また、屋根材は、ポリカーボネートが主流ですが、クリアな透明タイプやすりガラス調、熱による室内温度の上昇を防ぐ熱線吸収タイプなどが揃っています。2階のベランダを上手に利用することで、心地よいスペースが生まれることも。[サニージュ 造り付け部分囲い] LIXIL
サンルームは2階ベランダやバルコニーを利用する方法も
戸建ての場合であれば、2階ベランダやバルコニーを利サンルームのPoint8 2階ベランダやバルコニーを利用する方法もある用してサンルームにリフォームしたい、というケースもあるでしょう。洗濯物干し場や子どもの遊び場としても活用できます。既存のベランダやバルコニー、建物の構造などにもよりますが、囲いスペースやテラス屋根など、適するメーカー商品を取り入れることで、使い勝手のいい空間が実現するでしょう。プランニングの際には、前述のように、動線や開口部とのつながりなどに注意を。庭に設置するのに比べ、工事手間がかかるケースが多いので、工事費や工事日程など事前にしっかりと確認することが大切です。
サンルームはショールームや施工例などで確認する
サンルームを検討する際には、カタログだけでなく、できる限り実物の空間で確認すること。空間のボリュームを体感するだけでなく、構造躯体や扉材、パーツやオプションの種類などの確認を。扉やスクリーンなど、実際に開閉するなど、操作してみることが大切です。また、可能であれば、依頼先が施工した実例を見学させてもらってもいいでしょう。空間の使い方や外観デザインとのコーディネートなどの参考になるはずです。【関連記事】
- サンルーム商品の特徴と選び方/広さ、扉、屋根材etc.
- 居心地のよいテラスをつくる6つのポイント
- テラス屋根の種類と特徴&選び方のポイント
- ウッドデッキ種類と特徴&メンテナンスの注意点
- 目的、動線、周辺環境etc.ウッドデッキプランの考え方
- 天然木との違いは?メリットは?樹脂製デッキの選び方
- 戸建住宅のベランダ&バルコニープランのコツ
- 快適さを実現するベランダ&バルコニーの種類と特徴
- オーニングの種類と特徴&選び方の注意点
- 日差しを遮る外まわり建材の種類と特徴&選び方
- エクステリア(外構)プランの考え方、7つのポイント
- エクステリア(外構)プランとは?考え方のポイント
- オープン外構とクローズド外構のメリット・デメリット
- マンションのベランダを活用する工夫&注意点
- 日差しを遮り省エネに!オーニング&スクリーンの特徴
- 築6年 建築家と建てた小さな家の小さな変化と住み心地
- 小さな家での暮らしのエッセイ ~ウッドデッキとつながった洗濯物干し場~