心理的要素も影響? 非常時の腰痛
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大地震でのストレスは腰痛にも結び付く可能性があります
災害時に起こる腰痛は、避難所生活などの物理的な腰への負担だけが影響するわけではありません。災害への恐怖や生活に対するストレス、親しい人が被害にあうなどの悲しみや苦しみ、漠然とした不安、整理し切れない気持ちなど、多様な心理的要素が、腰部を支える筋肉に過度な緊張引起こす要因として考えられています。
これらの心理的要素とそれ以外の要素が複雑に絡んで腰痛が悪化してしまうため、筋肉や関節などの筋・骨格系がどのような状態なのか検査し、処置する治療の他に、専門家によるカウンセリングなど、心理的な面へのアプローチが同時に必要となるケースがあります。
発症時期はまちまち? 落ち着いた頃に痛みを感じることも
転倒や怪我などの外傷が原因・きっかけになる腰痛もあれば、原因が自分では思い当たらず、いつの間にかなっている腰痛もあります。以下に挙げるような要因が複雑に絡み合って、慢性腰痛になり、長い間つらさを感じる人もいます。災害の直後ではなく、少し日が経過してホッとした頃に腰に違和感や痛みを感じるケースもあり、人により発症はまちまちです。災害時に起きうる腰痛のきっかけとアドバイス
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腰に物が落下してくるといった外傷性が原因の腰痛もあります
どこかに体をぶつけた、転倒をしたといった場合、不意に防御姿勢をとると、瞬時に腰を支える筋肉や関節に負荷がかかり、背骨の支持力が不安定になることがあります。尻もちをついたり、腰部・骨盤に家具などが倒れてきた場合などは、骨折してしまう恐れもあります。また、足首やヒザなど、腰以外の部位の怪我により、二次的に腰部へ負担がかかり腰痛につながるケースもあります。早めに医師に診てもらい適切な処置を受けましょう。
■自分に合った寝具の不足、床など硬い場所の睡眠
疲れた体を休めるためには、体の力を抜いてリラックスできる寝具に横になるのがベスト。しかし、災害時は寝具がなかったり、硬い場所で横にならざるを得ない状況があります。
体の緊張度合や腰の状態によっては、仰向けでは腰や骨盤辺りが痛くて眠ることができないかもしれません。毛布や衣類などを利用して、少しでも寝心地のよい硬さに調整して、横になりましょう。また、腰の痛みをやわらげるために、横向きで寝転がり両膝を軽く曲げると楽になります。
■冷える場所での生活・就寝
季節、寝る場所が寒いといった影響による冷えの他に、食事の偏りにより血のめぐりが滞りがちになります。腰部の冷えをはじめ、体の深部、末端の冷えに影響することも考えられます。腹部以下を特に冷さないように、カイロや湯を入れ布を巻いた耐熱容器を湯たんぽ代わりにするなど、工夫してみましょう。耐熱容器は、湯がもれないものを使用します。足のつけ根やお腹を温めると効果的です。
■精神的な緊張・不安
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ショックや不安からの腰痛は専門医の受診が必要になることも
カウンセリングや緊張を取り除く薬が必要になる人もいますが、受診が難しい場合は、まずは腰部に直接心地よい刺激を入れてみましょう。腰部を温め、下記の体操をお試し下さい。中には精神的ストレスによる腰痛で、立つ・座る・動くといったことが不可能になり、受診が最優先となるケースもあります。この場合は、無理に体操は行わないで下さい。
避難所でもできる腰痛対策運動
災害後の片付けや避難所でのさまざまな作業など、平常時よりも身体に負担のかかる運動量が増えている人は多いと思います。しかし、これらの作業では、負担のかかった腰部の筋肉がほぐれません。体をまめに動かしていても、同じ部位ばかりに負荷がかかる動作が続くため、腰痛が起きやすくなってしまうのです。疲れた腰周りの筋肉を動かし、疲労の蓄積を解消していきましょう。次の体操をお試しください。
体の前で手首をつかみます
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無理をしないように気持ちよい程度のストレッチをしましょう
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ゆっくりと上半身をねじっていきます
骨盤部は、正面を向けたまま行います。
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倒した側と反対側が気持ちよく伸びるように
自然災害に見舞われるなどの非常時では、腰痛を感じてもすぐに治療を受けたり、処置したりすることが難しいかもしれません。できることから行い、なるべく悪化しないように対策するようにしましょう。