ハウスメーカー各社は、大震災発生直後から被災地域に支援物資や義援金を送るなどの対応をスタート。その後、被災地近くに工場を有するハウスメーカーなどは、生産ラインの復旧を進めるなどの取り組みを行っています。また、仮設住宅の建設など、被災地の復興を手助けする活動も行われています。
ただ、世の中の雰囲気と同様、実は大震災発生から1カ月経った今でも、住宅業界には「自粛ムード」があります。ですから、ハウスメーカーそれぞれの具体的な復興・復旧活動の中身は、未だあまり見えてきていません。これは特に仮設住宅の供給が遅れているなど、業界として立場が微妙な時期ですからしようがないことかもしれませんね。
ちなみに、東北エリアには断熱材や合板、アルミサッシなどを製造するメーカーの工場が多くあり、それらが被災。住宅業界関係者というと、仮設住宅の建設はもちろん、一般住宅の供給にも一部支障があらわれており、今後の業界の動きに影響を与えそうです。
被災地域で被害状況の把握作業が始まったが…
東日本大震災では、大津波により未曾有の大災害が発生した。家や建物が流されたことで、被害の全体像が未だ見えてこない(写真は東松島市の様子)
そのうち津波被害にあったのは約5800棟だといいます。「約」というのが微妙なところで、同社によると「お客様との連絡が取れていない住宅も多い」といいます。津波で被害に遭われたり、避難所などに移っているなどのユーザーが多いこと、被災エリアが広範囲に広がっていることなどが理由となり、被害の全体像を把握することが難しいようです。
とはいえ、このような状況であっても被害状況の確認やユーザーの安否確認を行っていることは評価すべきことだと思います。ミサワホームの場合は、大震災発生後1週間後に竹中宣雄社長自らが被災地入りし(もちろん現地に対策本部もあります)、現状把握に努めたそうです。
先日行われた会見で、この体験を通じて「ハウスメーカーとしての社会的責任・役割を全うしなければ…」と思いを強くされたそうです。ミサワホームだけでなく、経営者が自ら被災地入りし、現状把握をした事例はほかにもあります。
ハウスメーカーの社会的責任とは何でしょうか。次のページでは、もう一つ事例を紹介することで、その内容に踏み込んでいきます。