バランスシートの健全化
中野氏：買取の場合には、お店の利益も乗るからその分買取価格が低くなってしまいますが、オークションは品物の価値と同じだけお金が入ってきます。これはオークションの利点の1つですね。流動化してお金に換えていけば、そのお金を投資に回せるしバランスシートの健全化もできます。
武永氏：「これは商品として価値がある」と認識した時点で、それはもう流動資産になります。それをキャッシュにした場合、投資にまわす資金ができます。だいたいの家庭には不用品が眠っていますから、それを売ることによって5000円～1万円は作れるかもしれません。5000円であれば、セゾン投信で積立投資ができますね。
もう1つのメリットは「すべての物は流動化することができ、お金に換えることができる」と気付くことです。この気付きがあれば、無理に節約することなく物を買うことができると思います。
中野氏：つまり、買いたい物があれば資産を流動化して、お金を作って買えばいいということですよね。
武永氏：それに加えて、買った物も「これは資産だ」と認識できます。この認識があって売れると知っていれば、たとえば「商品が入っていた箱」を保管できますよね。エルメスのバーキンを売る場合、箱がなかったら箱だけオークションで買う人もいますから。実際、オークションで箱だけ売っていますしね。たとえば、バーキン本体以外すべてそろっていたら、15000円程度で落札されています。
箱や袋を15000円で落札しても、それをバーキン単体とセットにすることでバック単体よりも25000円高くなるなら買いますよ。「誰も買わないよね」と思うものであっても、資産になってしまうということなんです。
知らないことはリスクである
中野氏：一番の問題は、自分の持ち物が資産になるのを知らないことだと思います。箱が資産になるなんて知らないから、物を買ったら消耗品として考えてしまう。だからバランスシートの中から消えてしまっていて、ゼロという認識なんです。
武永氏：あるいは、買いたたかれて、びっくりするくらい低い価値しかないと思っているか。
中野氏：僕だって、自分が持っていたネクタイやベルトが売れるなんて思ってなかったですからね。「知らない」ということは、ものすごいリスクだと思います。
結局のところ、流動化できて現金化できるから自分が認識しているバランスシートが膨らむ。しかも現金で膨らむから、完全に自分の経済が健全化される。そのお金を投資にまわしたり、自分が欲しいと思っているものを買うことによって経済活動になるという流れができているわけですね。
武永氏：ネクタイとベルトだけで、中野さんのバランスシートは約4500円増えました。これは、投資資金の一部にすることができますよね。それに、今回4500円が手に入ったことで、バランスシートを健全化できるものがないか？って探してしまいませんか？
中野氏：なんだか、家の中の物探しが楽しくなりますよね。僕が思うに、オークションは信用創造ですよね。誰もが忘れているところに信用創造のベースが眠っているということです。信用創造ができるのは経済が拡大していくことです。その分現金がまわり始めるので、経済成長に貢献しています。これは節約とは真逆のことですよ。
武永氏：お金は残るし、さらに知識が残ります。だから、物を買ったときに、次に売ろうという考えが持てるんですよ。
中野氏：そして売ったお金でまた何かを買ったり、投資をすることもできます。しかも、毎月何かしら不要になった物を売ってお金を作っていけば、毎月の積立投資もできますね。そうすれば、経済は小さくならないから、自分の首を絞めることもありません。
僕たちの「アンチ節約論」は、みんなを幸せにする考え方だと思うんです。結局節約に走ると、みんなが不幸になります。経済の足を引っ張ってしまいますからね。自分が今の不安をどうにかしようとして節約すると、巡り巡って自分の子供につけがまわってしまいます。
一方でオークションの場合には、経済を小さくさせることはないし、今の満足と将来の不安を同時に解消できてしまう。こういったサービスが身近にあったとは…。家に帰ったら、また「資産」を探してみようと思います。
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