世の中は結婚したがらない男子たちに溢れ、婚活市場では女性のほうが多いという話も聞く。
傍から聞いていれば羨ましいような情け無いようなそんな状況だが、実際身の回りでは望んで独身でいる男子たちが非常に多い。
曰く「既婚者の話を聞いてると結婚する気が起きない」
曰く「趣味に時間を割きたい」
曰く「出会いがない」
などなど。
そんな現代で、結婚という難問に真っ向から立ち向かった異色作が、この『キャサリン』である。
『キャサリン』がどのようなゲームかを説明する前に、象徴的な内容をいくつか紹介しておこう。
- 主人公ヴィンセントは、毎晩悪夢に悩まされている
- 彼女からの結婚アピールが心に痛い
- 悪夢ではそんな彼女や赤ん坊に追いかけられる
- 悪夢の端々で「つい浮気してしまった場合、誰の責任?」などの質問を受ける
- ヴィンセントは酔った勢いで浮気をして、もれなく修羅場になる
- 現実でたくさんの酒を飲むと、悪夢で素早く動ける
今回はこの一風変わったゲーム『キャサリン』を紹介しよう。
大人のプレイに耐える、大人のためのゲーム
このゲームをジャンル分けするならば「恋愛ホラーアドベンチャーパズルアクションゲーム」とでもなるだろうか。大人の男に向けて作られた、硬派だか軟派だか良くわからないゲームだ。
良くわからないゲームではあるが、作家性が高く、実に面白い。
主人公ヴィンセントは、どことなく頼りないモジャ毛が特徴的な男。
彼女からの結婚アプローチも曖昧に受け流し、毎晩行きつけのバーで男友達と呑んだくれている。プレイヤーしていて「あ、俺こいつに比べればしっかりしてるわ」と安心するほどのダメ男ぶりを発揮してくれる。
問題はヴィンセントの見る夢にある。
ヴィンセントはある日を境に毎晩足場の崩れる夢を見る。その度にはるか頭上にある出口を目指して逃げ続けるのである。
この逃げる部分がパズルゲーム仕立てになっていて、プレイヤーは自分の身長ほどのブロックを引いたり押したりしながら足場を作り、ひたすら登り続ける。
やがてヴィンセントは「落ちる夢をみると死ぬ」という都市伝説や、身の回りにも悪夢にうなされる男がたくさんいることに気がついていく。