入社初日からリーダーとして振るまえ

40代の転職には、30代までの転職と明らかに異なる点があります。それは40代の場合、新しい会社に入社したとともに組織のリーダーとして、もしくは少なくてもベテラン社員としての振る舞いを求められることです。

転職に伴い環境や顧客や取引先、そして社内の人間関係など、全てがいったんリセットされるものですが、リーダーやベテランである以上、入社初日から組織の先頭に立った言動が期待されています。最初が肝心であり、この時点でひ弱な印象を周りに与えてしまうと、払しょくするのに大変な苦労をすることにもなりかねません。40代になってから転職するということは、こうした大きな挑戦に立ち向かう覚悟を持ってのぞむ必要があるのです。

2000年頃から始まった大規模リストラ

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時代の変化についていくのは大変

21世紀に入ってからの10年間、まさにその時期に40代を過ごした方、つまり現在50代に突入しているビジネスマンの方々にとって、この10年間の労働環境は、本当に厳しい状況がありました。

景気の波が一定周期で訪れることはどの時代もあまり変わりがありませんが、21世紀初頭に起きた、それまでになかった大きな労働環境の変化の結果、ビジネスマンの働き方に大きな影響がありました。

第1に、2000年頃から大手家電メーカーや自動車メーカーが軒並み大規模リストラを実施。これによって大量のビジネスマン、特に40代から50代の中高年のビジネスマンが転職市場に出てきました。自ら会社が用意した早期退職プログラムに応募した人も大量にいたかたわら、自ら望まないにもかかわらず、いわゆる肩たたきにあって会社を去らざるを得ない人も大量に発生しました。

この出来事は、多くのビジネスマンを転職に向け背中を押すことになり、日本の転職市場が一気に加速し始めるきっかけになったのだろうと思います。40代以降のビジネスマンの再就職を支援する会社が外資系を含め多数生まれたのも、この時期と重なります。

政治不信、M&A、管理職の外部採用

次にIT化が一気に進み、組織の再編が活発化し、人員削減を含むコスト削減が各社で進みました。M&Aも活発化し、これも企業の組織再編を進め、それに伴い、企業の管理職を外部から採用するという風習も定着するようになってきました。

以上のような事業環境の変化に伴い、周りに転職する人が増えたと実感する人も目立ってきました。実際に給料やポジションが上がり、より活躍する人、生活を向上させた人が目立つようになり、ビジネスマンの価値観にも大きな変化が生まれるようになりました。

もう1つ無視できないのは、この10年間、政治が不安定であったことです。政権交代に向けて、既存の政治体制に対するビジネスマンの信頼感がなくなっていったわけですが、年金制度をはじめとした様々な政策の失敗が、ビジネスマンに将来不安を抱かせたことも、転職社会を加速させた背景にあります。

今、40代、50代を迎えているビジネスマンは、大学を卒業した当時はまだ携帯電話もパソコンもなかった世代。それがこの10年間で一気に事業環境、就労環境、そして自らの将来設計までも、様々な修正をかけなければならない、大変な世代ともいえます。年金への不安も大きいでしょうが、それ以前に会社でいつまで働けるのか、自分の収入は今後どうなるのか、退職金は期待できるのかなど、様々なことにおいて不確定要素に包まれています。

今も昔も会社には人が集まって組織を作り、チームで仕事をしていることには変わりがありません。管理職は戦略を作り、部下に指示を出し、部下を育成しながらチームとしての成果を出すことが求められています。つまり、40代のビジネスマンに求められる役割については、いつの時代でも基本は同じなのです。

40代の成功転職には高度なコミュニケーション力が必須

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いつの時代で基本は同じ

40代ビジネスマンを取り囲む現状がある以上、求められるスキルや経験には今の時代にそった独特な傾向があります。

たとえば、今の時代、かなり高度なコミュニケーション能力が必要とされるようになりました。グローバル化の時代になり、英語をはじめとした語学力、異文化や異なるビジネス習慣を持つ外国人ビジネスマンとの交渉力もその1つです。多様なITツールを効率よく使用したスピード感あふれるコミュニケーション力も必要です。

職場には世代や性別の異なる上司や部下がいます。全く異なる企業風土から中途採用で入社してくる上司や部下もいます。時に社長すら外部から招へいされることが珍しくなくなりました。こうした変化に富んだ環境で、人と人が情報を共有し一緒に働くためには、かなり高度なコミュニケーション能力が求められます。つまり、転職活動をする40代ビジネスマンにとって、コミュニケーション能力が高いことは、転職を成功させるための前提条件になっているのです。

以前は年功序列が当たり前でした。組織は以前から顔見知りの仲間ばかりで構成されていました。このように外部からの中途採用が原則行われない組織で管理職を務めることと、常に人の入れ替わりが想定される組織で管理職を務めることでは、求められるスキルと経験も全く異なります。

40歳を超えるまで1つの会社で長く働いてきたビジネスマンが、突然、50歳を前にして転職活動を始めるケースが増えていますが、現実はなかなか転職が実現していません。転職ができたとしても、入社後に転職先でうまく順応できていないケースも多く、その背景にはコミュニケーション能力の問題があることが指摘されています。

会社の看板ではない経験や人脈が大事

この世代のビジネスマンが注意しなければならないのは、自分が会社の看板を外したときに、どれだけの人脈を持っているか、つまり新しい環境に転職したときに、それらの人脈をすぐに再起動できるかどうかが問われています。

有名会社の信用に頼りきった仕事のやり方をしてきた人の場合、転職先では全く仕事ができない懸念があるのです。どんなに過去の会社に輝かしい経歴があったとしても、そこで得た経験や実績が本当に自らのものになっているかどうか、転職先ではその点が確認されます。

特に管理職を務める40代のビジネスマンの場合、即戦力としてすぐに新しい職場に革命を起こしていけなければならないのですから、責任は重大なのです。