グランドツーリングもこなすロードスター&クーペ
2009年にモデルチェンジを果たし2代目へと進化した、リトラクタブルハードトップを備えるオープン2シーター。最高出力204psの2.5リッター直6エンジンを搭載した23iスタイルエッセンス(485万円)と23i(523万円)、306psの3リッター直噴直6ツインターボの35i(695万円)と340psの35is(815万円)をラインナップ
ユーノスロードスターに始まる現代オープン2シーターの系譜は、ヨーロッパにおいてBMW Z3という名車を生み出す。Z4はその直接的な後継モデルとして誕生し、現行型で2世代目を迎えた。
コンパクトで走りの楽しいFRのロードスターとクーペ、というZ3のコンセプトは初代Z4にも引き継がれ、そして現行モデルにおいて見事に昇華された。
開閉可能なハードルーフオープンモデルへと変身したのだ。と同時に、単なるスポーツモデルに留まらず、グランドツーリングカー的な要素も加わった。旧モデルに比べるとライトウェイトスポーツカー的なキャラこそ薄まってしまったが、逆に長距離ドライブもラクラクこなす上質なスポーツカーとしてグレードアップを果たしたのだ。
スタイリングは格好いいのひと言。いわゆるロングノーズ・ショートデッキスタイルを分かりやすく表現したが、そのシルエットそのものは1950年代の名ロードスター、BMW507へのオマージュである。突然変異ではない。ヘリテイジに基づいたロードスターなのだった。
高出力エンジンを積んだ上級グレードを選べば、高性能車マニアが好むようなスポーツカー性能を存分に楽しむこともできるが、アンダーパワーな4気筒モデルを選んでもZ4の魅力は全くもって損なわれない。むしろ後輪駆動独特の鼻先の軽やかな動き(腕と前輪が繋がる感覚)は、エンジンの軽い4気筒モデルの方が上だから、普段着の延長線上で楽しむというのであれば、コチラで十分。
交差点をひらりと曲がるとき、これまで乗っていたセダンやミニバン、コンパクトカーとは全く違う次元の気持ち良さに驚くはず。
人生、なんて大げさなことは言わないけれども、今この瞬間の現実を、少しでも明るいものにしたいってときに、Z4のような真っすぐに格好いいオープン2シーターが、とても役に立つ。