スポーツとラグジュアリィを両立、最新モデルの白眉
2010年に7年ぶりのモデルチェンジを果たしたアッパーミドルクラスサルーン&ツーリング(ステーションワゴン)。2.5リッター直6エンジンを搭載する523i(サルーン 610万円、ツーリング 640万円)、3リッター直6の528i(サルーン 715万円、ツーリング 745万円)と直6ターボの535i(サルーン 835万円、ツーリング 865万円)に加え、セダンは4.4リッターV8ツインターボの550i(1040万円)をラインナップする
なかでも5シリーズは、スポーツ性とラグジュアリィ性のバランスの良さで突出している。BMWというと、エンジン勝りでヤンチャなスポーツ風味をイメージしがち。もちろんそれも嘘ではないが、最新世代となった5シリーズ以上のBMWたちは、想像以上に洗練されていて、乗り心地もまろやかで、ふところが深く、それでいてその気になれば手応えよくスポーツしてくれるという、実に奥の深いパフォーマンスを実現している。
特に5シリーズの仕上がりがいい。グランツーリスモならさらに良いが、アチラは7シリーズ譲りでよくて当り前。誰もが妙なひっかかりなく乗り込める5シリーズサルーン&ツーリングこそ最新ラインナップの白眉としたい。
特に、小さいエンジンを積む、ごく標準的な仕様(523iや528i)が秀逸。圧倒的な動力性能が望めないだけで、その乗り味はリラックスのひとことだ。素直な手応え、疲れにくさ、たおやかさは自動車界随一のレベルにある。
派手さはない。特に現行モデルは、旧型のようにディテールデザインがぶっ飛んでいない分、かなりシンプルにみえる。そこがまたいい。飽きもこない。長く付き合える1台だと思う。
多くの人にオススメできるが、クルマ経験の豊富な方ほど、5シリーズの地力の凄さを実感できるはず。何気ないことで人を感服させることは難しいもの。5シリーズはそれを見事にやってのけた。