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坂上二郎が最期まで明かさなかったコント55号の秘密

昭和を代表するコメディアン・坂上二郎さんが、3月10日、脳梗塞再発のため亡くなられました。これまでにも多くの追悼記事が掲載されましたが、そこでは語られてれていなかった、コント55号の笑いについて、深く掘り下げてみたいと思います

広川 峯啓

執筆者:広川 峯啓

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誰もが爆笑していたのに気付かなかったこと

昭和40年代に、コント55号として日本中を爆笑のうずに巻き込み、その後も、温かみのある持ち味で俳優として活躍を見せてきたコメディアン・坂上二郎さんが、3月10日、脳梗塞再発のため亡くなられました。以前、脳梗塞で倒れた際には、リハビリの末、復活を遂げていただけに、突然の訃報は大きなショックを与えました。

コント55号の偉業については、各紙、各ウェブで詳しく報道されています。その面白さは、リアルタイムで見ていた人には説明不要かもしれません。ただ、笑いのテクニック等の中には、何となく見ていては中々気付かない点があるのも事実。その辺りについて、このコラムでは迫ってみたいと思います。

常に“新作”だった理由

「二度同じコントを演らない」と称された55号に、なぜ「飛びます、飛びます」や「忘れもしない13年前!」のような名フレーズが残されたのか。不思議に思う若い人もいるかもしれません。

2人のコントには、たたき台としての台本はあっても、一言一句が克明に記されたものはありませんでした。すべては欽ちゃんの頭の中にあるツッコミ台詞に対し、うろたえながら二郎さんもアドリブで返すというパターン。なので、全く同じコントは“演じられない”のです。

こうして膨大なコントを残してきた55号ですが、そのパターンは愚直なまでにシンプルでした。一般市民である坂上二郎のもとに、どこか異常な性格を帯びた萩本欽一が現れ、徹底的に翻弄するというもの。しかし、このコント群には彼ら2人でなければ成立させられない、大きな“秘密”が隠されていました。
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