睡眠/睡眠のしくみ・快眠度チェックリスト

早起き・寝言・金縛り……睡眠に関するウソ・ホント

昔からの言い伝えには、素晴らしい知恵もあれば、現代の検証では誤った知識もあります。早起きは本当に三文の徳なのか、寝る子は育つのか、寝言に返事をしてはいけないのか……。睡眠に関する言い伝えの真偽を検証してみます。

坪田 聡

執筆者:坪田 聡

医師 / 睡眠ガイド

万人には当てはまらない? 早起きは三文の徳

早起き

朝活で得している人もいます

昔からの言い伝えでは、早寝早起きが褒め称えられ、朝が弱い人は「宵惑いの朝寝坊」などと言われて、取り得がなく役に立たないかのように非難されます。

また、最近のビジネス界では「朝活」と称して早起きが勧められています。確かに朝は作業能率が上がるので、勉強や仕事がはかどりますが、ごく一部には否定的な報告もあります。

京都大学の研究者が健康な成人を調べたところ、早起きをする人は高血圧や脳卒中を起こす可能性が高いことが分かりました。この報告だけで早起きを否定できませんが、早起きは良いことだと信じて就寝時刻を早めずに起床時刻だけ早めて睡眠不足に陥ると、メタボや生活習慣病になりやすいのは確かです。

昼寝の時間が長いと認知症になりやすい?

昼寝

昼寝は、睡眠不足の解消に効果的です

たしかに認知症が進むと、よく昼寝をするようになりますが、昼寝をすると認知症になりやすい、とは一概には言えません。

毎日1時間以上も昼寝をしている人は、そうでない人に比べて認知症になる確率が2倍になります。しかし、30分以内の昼寝を習慣にしている人は、逆に認知症になる確率が5分の1に減ります。

高齢者は老化のため、眠る能力「睡眠力」が衰えます。夜間の睡眠時間が短くなり、睡眠の質が低下してしまうのです。夜の睡眠を補うために、昼間に短い時間の仮眠をとることは、認知機能を維持するためには良いことです。しかし、長い時間の昼寝をとると睡眠・覚醒のリズムが崩れるため、脳の働きを悪くしてしまいます。

成長ホルモンが大量分泌! 寝る子は育つ

子どもの成長

睡眠不足の子どもは太りやすい、という研究もあります

「寝る子は育つ」という言い伝えは本当です。子どもが育つには、成長ホルモンがとても大切です。成長ホルモンは、寝ついてから3時間に多く現れる深い眠りときに、脳の下垂体から大量に分泌されます。

この成長ホルモンのシャワーを浴びることで、子どもが大きくなっていきます。成長ホルモンは大人になると量が減りますが、日中に傷ついた細胞のメンテンスには欠かせないホルモンです。

睡眠は脳の発達にも影響を与えます。夜更かしや睡眠不足の子どもでは、脳の発達が遅れます。また、十分な睡眠をとらないと、気持ちを落ち着かせる脳内物質のセロトニンが不足したり働きが悪くなるので、うつになったりキレて攻撃的になったりします。

次のページでは金縛りや寝言に関する睡眠トリビアをご紹介します。

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