top

年金支給額はなぜ引き下げに?

平成22年度も終わりに近づき、まもなく新年度を迎えます。平成23年度から公的年金の支給額や保険料などが一部改定の予定があります。平成22年度の年金額がどのように変わっていく予定なのか、その根拠も含めてご案内していきます。

<INDEX>
年金支給額、見直しの根拠は?
第3号被保険者の不整合記録の問題(主婦年金の救済問題)
 

年金支給額、見直しの根拠は?

平成22年度の満額の老齢基礎年金支給額は792,100円でした。平成16年に大幅な年金改正が実施されましたが、平成16年改正により満額の老齢基礎年金支給額は、法律上780,900円に改定されました。この支給額は今年度の支給額よりも低い金額になっていますが、年金改正による支給額と実際の支給額の差が生じた原因は平成12年度の年金支給額の改定時にさかのぼります。

平成16年の年金改正以前の年金支給額は、「完全自動物価スライド制」のしくみで改定が行われていました。完全物価スライド制は、前年の消費者物価変動の割合をそのまま年金支給額に当てはめて年金支給額を改定するしくみです。完全自動物価スライド制は平成元年に導入され、制度導入後の消費者物価は上昇が続いていました。このため、年金の支給額は毎年度引き上げられてきましたが、平成11年は初めて消費者物価が-0.3%になりました。完全自動物価スライド制をそのまま適用すると、平成12年度の年金支給額が引き下げられる予定でしたが、年金支給額は前年支給額を維持する「物価スライド特例措置」が適用されました。この年金額を据え置く物価スライド特例措置は平成14年度まで続き、消費者物価の下落と年金支給額との差は1.7%に達しました。
平成16年年金改正以前の年金額の支給水準

(厚生労働省HPより)

その後、平成15年まで消費者物価は下落を続け、平成15年度・16年度は年金支給額も引き下げられましたが、平成14年度までに生じた消費者物価の下落と年金支給額との差(1.7%)はそのまま残っていました。平成11年から15年までの実際の消費者物価の下落は合計すると-2.9%になるので、平成16年年金改正時の本来の年金支給額は780,900円(=804,200円×0.971)ですが、実際の年金支給額は物価スライド特例措置により794,500円(=804,200円×0.988)でした。

平成16年には年金改正により、年金支給額の見直しにはマクロ経済スライドや保険料水準固定方式が導入されましたが、消費者物価の水準と年金支給額との差(1.7%)を解消する「物価スライド特例水準」が最優先されることになりました。したがって今後、消費者物価が上昇しても消費者物価水準との差が解消されるまでは、年金支給額は据え置かれます。実際、平成20年の消費者物価の上昇0.9%は年金支給額に反映されませんでした。
平成16年度以降平成21年度までの年金支給水準

(厚生労働省HPより)

一方、消費者物価は年金改正後平成17年に0.3%下落し、平成18年度の年金支給額は792,100円(=794,500円×0.997)になりました。物価スライド特例水準では、物価水準が上昇しても年金額据え置く一方、物価水準が下落した場合は、直近の年金額改正の基準となった物価水準(現在では平成17年)と比較して年金支給額の見直しを行うことになっています。

平成23年度の年金支給額改定の基準となる平成22年の消費者物価は前年に比べて「0.7%」下落していますが、平成17年の消費者物価水準と比べると「0.4%」の下落です。このため、平成23年度の年金支給額は平成22年度の年金支給額に比べると0.4%引き下げられることになりました。

これを受けて、具体的には平成23年度の老齢基礎年金の満額支給額は「788,900円」となります(平成22年度は792,100円)。同様に、老齢厚生年金を計算する際の物価スライド率(平成16年以降の物価変動率)は「1.031×0.985」から「1.031×0.981」となります。つまり、国民年金・厚生年金とも平成22年度より支給額は引き下げられることになります。なお、国民年金の保険料は、月額15,020円(平成22年度月額15,100円)となる予定です。
平成23年度の年金額の予定支給水準

(厚生労働省HPより)