年金

年金支給額引下げ?主婦の年金救済?~年金あれこれ(2ページ目)

平成23年度の年金支給額が発表され、5年ぶりの支給額引き下げとなりました。一方、平成23年1月から始まった手続忘れによる「運用3号」の取り扱いについて早くも見直しの方向となっています。年金についての報道を目にする機会が多くなっていますが、なぜ年金額が引き下げられるのか、運用3号とは何なのか、解説していきます。

原 佳奈子

執筆者:原 佳奈子

年金入門ガイド

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第3号被保険者の不整合記録問題(主婦年金の救済問題)

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変更手続きをしなかった人の救済です

平成19年5月ごろから年金の加入記録に関する問題が持ち上がり、ねんきん特別便やねんきん定期便の送付による加入記録の確認や名寄せ作業などが進められてきました。加入記録の確認作業の中で新たに問題となっているのが第3号被保険者の不整合記録です。不整合記録とはどのような加入記録なのかみていきましょう。

第3号被保険者は配偶者である第2号被保険者に扶養される人(多くは専業主婦)ですが、法律上以下のような場合に該当すると第3号被保険者は、第1号被保険者に種別を変更する手続きが必要になります。
 
  1. 会社員の夫が自営業者に転職し、第1号被保険者になった
  2. 会社員の夫が定年などで退職し、厚生年金(第2号被保険者)の加入資格を喪失した
  3. 会社員の夫が死亡した
  4. 会社員の夫と離婚した
  5. 妻の年収が増えて(130万円以上)扶養からはずれた

1~4の場合、妻は第3号被保険者から第1号被保険者に種別が変わり、14日以内に市区町村役場の窓口で種別変更の手続きを自分で行わなければなりません。5については、パート勤めの場合労働時間によっては厚生年金の加入要件に該当するため、労働時間や日数が増えると第2号被保険者になることもありますが、厚生年金に加入しないパートのままでかつ年収が増えたら第3号被保険者(扶養)からはずれて第1号被保険者に該当します。第1号被保険者に該当する場合は、1~4と同様、自分で種別変更の手続きを行わなければなりません。

現在、第1号被保険者への種別変更が行われておらず、第3号被保険者のままになっている期間が「不整合記録」として問題になっています。
事例1

 

事例2

 

不整合記録のために受給資格が満たせず無年金や低年金になる事態を防ぐため、今年1月から厚生労働省は保険料徴収の時効が成立していない直近2年間については加入記録を第1号被保険者に変更して保険料の納付を求め、時効が成立しているそれ以前の期間は「運用3号」期間として第3号被保険者だった期間とする対応を行っていました。
事例1運用3号

 

事例2運用3号

 

ただし、この救済措置(通知により運用)については、正直に第1号被保険者への種別変更の届出をして保険料を払っていた人に比べて不公平だとの反発の声が高まり、2月24日に一時停止されました。3月現在、法改正を含めて以下のような点を軸に新たな救済措置が検討されています。
 
  1. 未納だった全期間の保険料を納付できるようにする。
  2. 未納期間も年金加入扱いとするが、年金額には反映させないようにする。

いずれにせよ、何らかの形で救済措置は必要になるものと思われますが、正しい知識と理解のもと正直に保険料を払っていた人と差がでないようにしていただきたいものです。今後もこの問題は検討が続くものも思われますが、自分自身の年金の手続や加入期間をきちんと把握するよう心がけておきましょう。

※この記事は、掲載当初協賛を受けて制作したものです。

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