助成金・補助金/人材採用に関する助成金

雇用を維持する経営者のための助成金(2ページ目)

業績が低迷しても、従業員を解雇せず雇用を維持しようと努力する経営者を支援する助成金を紹介しています。制度の説明に加えて具体的な支給要件、支給金額、対象となる休業、教育訓練の具体的内容、実際の活用法まで分かりやすく説明しています。

本田 和盛

執筆者:本田 和盛

企業の人材採用ガイド


雇用調整助成金の支給額

休業

休業中の賃金が補填されます

支給額については、休業させた場合、休業させた上で教育訓練を実施した場合、出向させた場合で、それぞれ助成率と限度額が決まっています。

■休業の場合
事業主が労働者に支払った休業手当の3分の2(上限1人1日7,505円この額は雇用保険基本手当の1日の上限と同額です)。

■教育訓練の場合
1人1日4,000円(※平成23年4月から2,000円) 。 

■出向の場合
出向元で負担した賃金の3分の2。

中小企業緊急雇用安定助成金の支給額

中小企業緊急雇用安定助成金の場合も、雇用調整助成金と同様の助成があります。

■休業の場合
事業主が労働者に支払った休業手当の5分の4(上限1人1日7,505円)。

■教育訓練の場合
1人1日6,000円(※平成23年4月から3,000円) 。

■出向の場合
出向元で負担した賃金の5分の4。

■支給の限度日数と上乗せ
雇用調整助成金・中小企業緊急雇用安定助成金の支給(休業、教育訓練の場合)は、3年間で300日が限度となっています。

また従業員を解雇しない事業主に対しては、支給率の上乗せがあります。従業員を解雇しないで雇用を維持しようとがんばる企業は、次のように支給率が代わります。

大企業  3分の2(本来) → 4分の3(上乗せ後)
中小企業 5分の4(本来) → 10分の9(上乗せ後)

なお雇用調整助成金などは、事業主から徴収された保険料(雇用保険二事業の負担分)を財源としています。支給額の増大により財政状況が厳しくなったことをうけて、平成23年4月以降、教育訓練に係る給付額が減額されることになっています。

助成金の支給対象となる教育訓練にOJTは含まれない

助成金の対象である「教育訓練」は、労働者の職務能力を向上させる目的で所定労働日の所定労働時間内において実施されるものという制約がついています。時間外や休日に行うことはできません。

また通常の社員教育として行われる教育訓練ではなく、今後の生産性の向上等につながるものとして認められるものを、1労働日もしくは3時間以上にわたって行われるものという制約もついています。

よって新入社員研修や管理職研修など通常の社員教育は対象となりません。法律で義務付けられている安全衛生教育も対象外です。講師がおらず、ビデオだけを視聴するようなものも対象外です。

今後の生産性向上に役立つものなので、フォークリフトやクレーン等の技能講習、OA関係講習、語学、メンタルヘルス対策などが該当します。これらについても、過去に同一従業員に実施したものは対象外となります。すでに知識が身についており、今後の生産性向上に役立つとは認められないからです。

教育訓練は、外部の事業所外訓練だけでなく、自社の従業員が講師をする事業所内訓練であっても対象となります。

「生産ラインまたは通常の就労の場における通常の生産活動と区別して受講する」ものという制約がついているので、OJT(オンザ・ジョブ・トレーニング:通常の仕事を通じた訓練)は対象外です。
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