たたむ生活とつるす生活
戦後、日本の家づくりは「たたむ文化」から「つるす文化」に変化したといえます。たたむ文化は「和」であり、つるす文化は「洋」です。具体的にいうと、風呂敷・ちゃぶ台・着物など「和」のものはたたむことができ、ダイニングテーブル・スーツ・ドレスなど「洋」のものはたたむことはできないということです。現代の家はほとんどがつるす文化といえます。実はそのつるす文化がモノの氾濫を起こし、空間を殺していることもあります。間取りを考える際、もう少したたむという発想を取り入れてみるのはいかがでしょうか?たたむ間取りとつるす間取り
先ほどは「たたむ文化とつるす文化」を解説しました。続いては間取りで考えてみましょう。「たたむ間取りとつるす間取り」これらはどのようなことがいえるでしょうか?たたむ間取りとは・・・空間がフレキシビリティであること。
例えばリビングの延長にインナーテラスを設けます。時にはそこに観葉植物を置いたり、まきストーブをおいたり、さらに洗濯物を干すなど、マルチテラスとして使うのです。また、子どもが小さい時にはリビングの一角にタタミコーナーを設け、子どもの成長にとともにフローリングに変えたりするのもよいでしょう。
つるす間取りとは・・・吹抜けなどの空間。
部屋の大きさから考えて、2階の天井の高さまですべてを吹き抜けにしてしまったら高すぎてしまう場合などは、適当な高さまで吹き抜けを設け、その上は2階の部屋からの収納などに使うことも可能です。
また、欄間、高窓の活用などもつるす間取りの手法といえないでしょうか。
たたむ間取りは多用途なスペースとなり、つるす間取りはやや限定的な働きや、スペースともいえます。
図面の中に色分けをする
間取りを考える際、部屋の広さや数についてはもちろん、将来どんな生活スタイルにしたいということが明確に答えられる人はあまりいません。そんなときは、たたむ間取りとつるす間取りをイメージするとよいでしょう。多用途のたたむという発想、光や風などはつるすという発想、この両者のバランスを図面の中に色分けしておくのです。そうすることで将来生活スタイルが多少変化しても、柔軟に対応できます。もちろん収納スペースも、たたむスペース、つるすスペースと色分けしておくことも忘れないでください。