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天皇陛下、心臓の検査入院へ=運動負荷で虚血状態-宮内庁
宮内庁は9日、天皇陛下が定期健診で、一定以上の運動負荷がかかると心臓の血液の流れが悪くなる「心虚血状態」になると判明したため、11日に東大病院に入院し、再検査を受けられると発表した。
同庁によると、昨年12月に77歳になった陛下は先月22日、東大病院で定期健診を受けた。その結果、運動により心拍数を上げる心臓の検査で異常が判明した。
陛下は11日に同病院で冠動脈造影検査を受け、経過観察のため1泊する。同日の宮中祭祀(さいし)は検査と重なり欠席するが、今後の公務変更は予定しておらず、日常生活にも支障はないという。
(引用:時事ドットコム 2011/02/09-17:35)
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心虚血状態とは
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心臓の表面にある細い血管が冠動脈です。心臓にエネルギーと酸素を送る、命綱です
ところがこの冠動脈が動脈硬化をおこし、狭くなると、あるいはプラークと呼ばれる脂肪の袋が大きくなると、心筋に十分な血液が送れなくなり、問題が生じます。パイプラインが流れにくくなり工場の仕事に支障がでるような状態、これが心虚血状態です。略して虚血とも呼びます。虚血になりますと、しばしば胸が痛くなったり胸が重苦しく、あるいは不快な感じになります。いわゆる狭心症です。
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プラーク破裂で血栓ができると心筋こうそくが起こります
とくに糖尿病や慢性腎不全・血液透析あるいはコレステロール・中性脂肪などが高いかた、ヘビースモーカー、高血圧、身内に同様の病気の方があるなどの時は要注意です。
心虚血状態の検査と治療
検査では心電図や胸部レントゲン、血液検査が役立ちますが、狭心症の最中でなければ診断がつかないことが多いです。そこで運動をしていただき、心臓に少し負荷をかけて心電図や症状がどうなるかを見る検査、たとえばトレッドミルが役立ちます。またラジオアイソトープを注射して心臓の心筋に十分血液が流れているかを調べると、心虚血の有無や程度・範囲がわかります。しかし心虚血が冠動脈の狭窄や閉塞で起こる以上、冠動脈そのものを見れば治療に直結した検査になります。それが心カテーテルによる冠動脈造影です。カテーテルという管を冠動脈の入口まで進め、そこで造影剤というレントゲンで映る液体を注入すると冠動脈がきれいに見えます。どこが狭いか、どこが閉塞しているかもすぐわかります。そして冠動脈に問題があればそのままカテーテルを用いた治療へと進むこともできます。
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MDCT検査によって快適に冠動脈の精密検査ができます
冠動脈に問題があるかどうか不明な段階ではカテーテル検査はやや大げさです。そこで近年MDCT(マルチスライスCTスキャン)という検査で、手の静脈から造影剤を点滴でいれつつ冠動脈を映し出す方法が進歩しました。横になって、点滴を受けるだけで短時間で検査が終わります。普通は直径1mmの冠動脈まできれいに見えますので、主な冠動脈に狭窄や閉塞があればすぐわかります。問題があるとわかればカテーテル治療(PCI)や冠動脈バイパス手術によって治療すれば心筋梗塞を未然に防げることが多いのです。
心虚血状態は予防が第一
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日頃の健康管理と健康診断が大切です。しかし胸痛が起こればすぐ病院へ
天皇陛下の健康ご快復と皆さんのご健康を祈るものです。
参考サイト: 心臓外科手術情報WEB の虚血性心疾患のページ